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第38話

☆さて、どうしろって話☆ 「それで、小春はどうするんだ?」 「どうするって何が」 「千秋に本当のこと言わなくていいのかよ」 「…やっぱり言わなきゃ駄目?」 「そりゃ、当たり前だろう。千秋、本当に小春がナンパされた場所で待つつもりだぞ」 「…それはわかってる」 誰だってあんな真剣な顔を見たら本当にやると思うだろう。 でも正直、東条 千秋には会いたくない。 「そうは言ってもな…」 「おい、俺は何も言ってない」 「顔に書いてる」 昔から内心で思ってることが顔にでると言われていたが、ここでも現れたらしい。 透はクスクス笑ってから、一歩先に歩いて立ち止まる。 「分かってるなら早く言った方がいい。事が大きくなる前に」 「事が大きくなる前って?」 つられて俺も動きを止めた。 「千秋が怒る前にってこと」 またそのワードか。 「あのさ、そんなに東条 千秋が怒ると大変なの?あいつが雲学の不良トップなのはわかるけどさ」 「それもあるけど、あいつを怒らせると俺と柴崎でも止められないかもしれないの。というか自信が無いが正しい」 えっ、そんなにですか? 不良ではないけど『茶髪の鬼』と呼ばれたあなたと不良である『笑う遊び人』でさえ止められないのかよ…。 うわー、俺ってばとんでもないやつに好かれたな…。 「マジか…」 「大げさになるけど、俺達もそういう事態は避けたい。だからなるべく早く言うんだぞ」 なんて透も真剣な顔をするから俺は「あぁ。」と少し曖昧な返事をしてしまった。 そしてまた沈黙が訪れた。 それでも俺達は話さず歩き、家に着いたのでそのままわかれた。

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