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第41話
☆心配☆
「なんの話してるんだ?」
俺と純平が流れてる噂の話が終わった頃、透が俺の席にやってきた。
「今、井上と噂の話してた」
「噂?」
「東条 千秋の噂」
「あぁ、あれか。」
それを聞いて透は自分の席に座る。
「なんだよその反応。透、生徒会入ってるなら東条 千秋に会ってるよな?最近、雰囲気どう?」
「さぁね。俺はそういうの興味あるように見える?不良沙汰のことには関わりたくない。というか、そろそろ授業のチャイム鳴るぞ。間宮、今日の数学の板書しないといけないだろ」
「あー!そうだった。課題やってないわ」
淳平は急いで自分の席に帰って行った。
課題くらいやれよと思ったら透が話かけてきた。
「小春」
「ん?」
「噂、興味ないとはいったけど、あんな感じになってるの…どうおもってる?」
「…特に。ただ、俺のことでなくて良かったとは思ってる」
「俺もそう思ってる。けど、俺さー、ここ数日の千秋を見ててちょっと辛い」
「……」
「本人はいつ会えるか楽しみにしてる。でもやっぱり悲しそうな顔するんだよな」
「……」
「それに、噂の険しい顔をしてるっていうのは『春ちゃん』に本当に聞こえていなかったのではないかっていう焦りからでてると思う」
「……」
「俺は小春と親友であると一緒に千秋の友人だ。友人として不安なんだ。だからもう小春から一思いに言ってやって、あいつのこと楽にしてやれよ。きっとお互いその方がいい」
「……」
俺は透の言葉に無言と頷くという返事しかできなかった。
「それにさ…俺は今の千秋を見てると、どうしても飼い主の帰りを待つ忠犬ハチ公にしか見えてこないしさ」
「……」
「おい、小春。ここ笑う所だぞ。俺、今上手いこと言ったのに。」
「笑って良かったのか?」
「むしろ、笑ってくれれば良かった」
「ごめん」
結構真面目に聞いてたから透の冗談にも反応できなかった。
多分、今の状況で言わなければ笑っていたとは思うけど。
そして午後の授業のチャイムが鳴り、先生が入ってきたことで強制的にこの話は終わる。
俺は外を曇り空を見て自分の気持ちと似てるなと思って、溜め息をついたのだった。
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