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第45話

☆雨を見て何を想え☆ 俺は家に帰ってきた。 雪姉は今日も仕事でいない。 玄関や廊下に滴る雫を気にする素振りなく俺はリビングに入り買い物袋を置いた。 冷蔵庫に詰め込まないとならない食材だってあるが、そっちのけで階段を駆け上がる。 そのまま雪姉の部屋に入って、この前女装した時の服を引っ張り出す。 それをもって自分の部屋に入って着替えた。 どんな風にやればいいのかは過去の記憶で少しは知ってた。 こんな時に役だってしまうのは嫌だが…今は気にしないことにする。 「よし、できた」 できたといっても着替えてカツラ被って整えただけが。 まさか、またこの格好をする日がくるとは思わなかった。 室内の姿見で全体を確認して、これ客観視しても男だろ、とツッコミ。 スカートから僅かに覗く脚は毛が薄いとはいえ、男っぽい。 このスカート独特の風通りの寒さは慣れないし、これからも慣れちゃならない、絶対。 …そんな事は現状、どうでもいい話だ。 スカートの裾を軽く払って、自室を出て階段を下り、俺は玄関に行ってドアを開けた。 雨が強く降っている。 俺はそんな雨を見ながら思う。 …なぁ、東条 千秋。 俺は逃げない。 決めたんだ。 あんたはもう忠犬ハチ公みたいに待たなくていい。 会いに行くから。 俺は傘を2本持って玄関を出た。 雨は強い。 それでも関係なく俺は走った。 あのナンパされた場所…じゃなくてバス停まで。 でもさすがに息切れして登場するのはカッコ悪いから着く手前で息を整えた。 もう東条 千秋は見えていて、まだ携帯をいじってる。 そして疲れない程度に大股で歩く。 パシャバシャと水を切る音に気付いてか、金色の髪を揺らして奴が顔を上げた。 紅い目がこれでもかって開く。 今度は東条 千秋の前で止まった。 片手でさしてないもう一本の傘を持って、その傘をあんたに向けながら。 手は少し震えるけど。 今回は仕方ないから許そう。 そしてあんたが惚れたという笑顔を向けて。 ーー俺はあんたに真実を告げようか

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