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第47話
☆遮る☆
「どうして私のことを待っててくれたんですか?」
とりあえず、さっきの誤魔化し方を触れて欲しくないから話しを変えた。
「あっ、俺……春ちゃんに言うことあったんだ」
言うこと?…あっ、また失敗した。
空を仰ぎそうになった顔を引き止め、眉を顰める。
自分の馬鹿加減にイラつく。
東条 千秋には前髪で表情が隠れていた為か気付いてない。
だから形の良い唇が開いた。
「俺、春ちゃんと会ってまだ間もないけど…」
言わせない。
とでもいわんばかりに俺は東条 千秋の顔の前に手をやって言葉を遮った。
とっても物理的な止め方。
触れる事をせず、宙に浮いた手の平を戻すタイミングは見つからない。
でも俺は東条 千秋にその先の言葉は言わせないし、自分の耳に入れたくないという感情が優ってた。
イケメンなあんたが平凡な俺に言う言葉ではない。
相応しくないよ。
じゃあ、平凡な俺がこれからあんたに対して言う言葉は?
となる。
俺が真実を告ぐのは義務。
相応しいとか相応しくないでは言えない。
そもそも俺はその為にこの雨の中、東条 千秋に会いに来たんだ。
だったら……
そっちの方が大事だろ?
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