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第50話
☆月曜日の朝☆
日曜日の記憶がごっそり消えた俺の意識がはっきりしたのは月曜日の朝だった。
「小春、大丈夫か?」
机の上に顎を乗せた俺の目の前には透がいた。
俺は透の声で意識が戻ったらしい。
「あ、あぁ…」
とりあえず、適当な返事をした。
周りを見るとクラスメイトがいる。
どうやらここは自分のクラスのようだ。
そして俺は普通に自分の席についている。
「そうか。今日の朝登校してる時から様子へんだぞ。何を話しても『うん。』とか無言にしかならないし…」
結構やばくないか俺。
「ごめん。色々あって…」
日曜日の記憶がないのです。
「色々って?」
間髪いれずに透が聞いてくる。
「……」
「俺にも言えないこと?」
「い、いや。そういうわけでは…」
どこから話せばいいのかわからない。
「じゃあ、言えよ。俺と小春の仲なんだ。隠し事はなしにしようって前から言ってるじゃん」
まぁ、そうだけど。
でも、透なら大丈夫か。
てか事情も知ってるわけだし。
「実は…」
俺はあの雨の日から今日の朝の所まで透に話した。
「やっと千秋に言ったか。そして逃げたと」
透が少し冷たい目で俺を見ている。
馬鹿だろ、と額を指で弾かれて痛みに顔を顰めた。
「いや、だってだな。俺は女装してたからスカートはいてたんだぞ。それなのにスカートの下から手を入れて俺の息子を触わられたら…」
俺の警報機兼拒否反応が起こるに決まってるだろ!
てか書いてなかっただけでその前から拒否反応してたんだからな!
それなのに直で触ってこられたら俺だって無理だよ!
「まぁ、どうなるかは想像できるけど。あー、だから千秋怒ってたのか…」
透は片肘付けて俺を見ていた。
東条 千秋が怒ってた?
怒りたいのはこっちだよ!
あのイケメン金髪!
………ん?待て、透。
今なんて言った?
「怒ってた…?東条 千秋が」
「おう」
怒った?!やばくないのかそれ!
怒らせるなって言われたのに…。
俺やらかしたな。
てかミス犯しすぎ、しかも重要なミス。
「あー、透?俺もう終わりかも…」
「そうかもなー。あれ、怒らせるなって言ったのに…」
「やっぱり?あははは。」
笑うしかねぇ。
俺は机に向かってうつ伏せになった。
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