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第51話

☆頭上からの音☆ 「もう俺は終わりだぁぁぁ」 「おい、小春。いつまでそれ言ってるんだ。もう昼休みだぞ」 「だってさ、あの『赤目の犬』怒らせたんだぞ!不良トップの!もう…終わりじゃん」 俺は朝から昼休みまで机にうつ伏せになっていた。 最初は笑っていたものの、途中から自分が東条 千秋を怒らせた時の想像を思い出してしまった為こんな状態になった。 「まぁ、怒らせたには怒らせたけどやってしまったもんは仕方ない。気にするな」 「気にするなといわれて気にしないってなれるわけないだろ…てかそんなにメンタル強くないって話だ」 いくら自分が蒔いた種でも今回ばかりはやばい。 恐怖しかない。 「…はぁ。そんなこといってたらきりないぞ。まず、今は昼御飯を食べようぜ」 はい、と透は俺の机の横にかけてた弁当袋を机に置いた。 「まぁ、そうだけど…」 「ほら、おにぎり」 そのまま透は俺の弁当袋からラップに包まれたおにぎりを出してくれたようで俺の顔に引っ付けてきた。 「うおっ?!ビビらせるなよ!」 「お前がいつになっても机から顔あげないからだろ。ほら、食べるぞ」 「んー。わかったよ…」 俺は机からちゃんと顔をあげておにぎりを手に取って頬張る。 …うまい。 *** お昼御飯を食べて歯磨きをした俺と透は席についた。 そして午後の授業の教科書を出した時だった。 ピンポンパンポーン という音が教室に響いた。 俺を含めた全員が音を発した所に目を向ける。 放送機。 滅多に使われることのない物から音が発っせられ、俺達のクラスは無条件で小さな静寂が生まれた。 その小さな静寂を放送機が壊す。 「あ、あー。一応、テストー」 東条 千秋の声と共に。 「テストオッケー」 東条 千秋はなんのテストかはわからないがオッケーを出す。 一体、放送機を使って何を言い出すんだ…。 「2年B組 井上 小春。聞こえるか?ま、答えは聞こえないけど。井上 小春、直ちに生徒会室にくるように。以上」 東条 千秋はそれだけ言うと放送機の電源を切ったようで『ブツン』という音が響いた。 再び教室に訪れる静寂。 「ふざけんなぁぁぁぁぁ」 に一瞬で静寂を壊した叫ぶ俺。 一斉にクラス全員が俺に目を向ける。 奴らの目が何を言いたいかは分かる。 大体は『何で?』見たいな目してるしな。 俺も何で?と言いたいが理由は明白だからなにも言えない…。 でも… 「透、俺午後の授業あるのに生徒会室なんていっていいわけ?」 「生徒会の権限でそういう欠席は許されてる」 なんとも酷い権限だな。 「マジかよ…」 「いいから、小春。早く行け。これ以上千秋を怒らせるな」 「…はいはい。行きたくないけど行きますよ」 俺は教室のドアへいこうと歩き出す。 「小春、死ぬなよ」 そんな小声で物騒なこと言うなって言おうと思ったけど、本当になりそうで怖いから言わない。 だから代わりに… 「仮にそうなったら毎年命日に墓参りしてくれな」 と小声で返した。 「縁起悪いこというなよ!」 透が少し怒った顔で言うのを他所に俺は教室のドアへ向かう。 「……いってくるわ」 出る直前に笑顔で透に(一応クラスメイトにも)言う。 透も一瞬予想してなかった言葉を言ったからだろうか驚いた顔をして 「いってこい」 と手を振って返してくれたから廊下にでて生徒会室に向かった。 さぁ、今日は本当に俺の命日になるかもなー。

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