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第53話
☆ピンクと坊主☆
えー、ただいま屋上に出る扉の前にいます。
でもしかし!
扉の前に不良が二人いる。
うわうわ、睨んでるよ。
「誰だ、てめぇ?」
その不良の1人が俺に話をかける。
髪というか坊主のやつ。
身長は俺よりも高く、少し見上げないといけない。
「井上 小春です」
「あ〜、園田。さっき放送で東条さんに呼ばれた人だよ」
その園田と呼ばれた坊主ではないピンク色の髪の方が言う。
「なるほど。でも松本、こいつ1人でいくのか?」
「そりゃ、そうでしょ。放送で呼ばれていたのはこの人1人だし」
「ふーん」
園田は俺をジロジロ見てきた。
なんだ?気持ち悪い。
つか見下ろすな。
「なんか…東条さんに呼ばれた割には…平凡な顔してんな」
「こら園田!僕も思ったけど失礼だよ!」
いや、お前ら2人共失礼極まりないぞ。
それになんで初対面の奴らに俺が平凡な顔だと評価を受けなければならないのだ。
知ってるけどね!ここまで言われるともう開きなおりたい。
「ほら、園田!睨まれちゃってるよ!」
おっと、無意識に睨んでしまったようだ。
「あぁ?なんだてめぇ、やるのか?」
いや、やるも何も喧嘩とかしたことないし。
それに俺は平和主義者(笑)だぞ。
「やめなって。そんなことしたら東条さんただでさえ怒ってるのに余計に怒るよ!」
松本と呼ばれたピンク頭はそんな俺を察したのか園田を止めてくれた。
うん、すっごく恐ろしい単語もあったけど。
でもそれを聞いた園田はチッと舌打ちしながら黙った。
「すみません、こいつも不機嫌なんで。えーと、とりあえずここ僕達除けないと通れないよね」
「いや、大丈夫」
不機嫌だとしても俺に当たらないでくれ。
まぁ、このピンク頭の松本が不良だけど素直に謝ったから許す。
そして2人は屋上の扉から除け、松本が扉を開けてくれた。
俺は松本の『気をつけてねー。』という言葉を背に屋上の扉を通った。
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