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第61話
☆本物に近い☆
「はぁぁぁぁぁ?!」
東条 千秋の言葉に俺は思わず叫んでしまった。
何を言ってるんだこの男!
いや、だってあんた…えっ?えっ、どういうこと?
「知ってた?!いつからだよ!」
「最初から」
「最初ってナンパされたあの日か?!」
「あぁ」
待て待て、ちょっと…いや、結構混乱してる。
絶対女だと思われてたっていう考えが強過ぎて、今言われた言葉のせいで頭の中がやばい。
「でも、最初はてめぇがナンパされてるの見た時、女だと思ってた」
だ、だよな…俺後ろ向きだったし。
「じゃ、じゃあ…ど、どうやって…」
ものすごく、気になるのだが…。
「匂い」
「へっ?」
今、我ながら情けない声出した気がする。
匂い?なんで?
あんたが鼻きくのは知ってるけどさ。
「なんで?って顔してるな」
「そ、そりゃ…するだろう。だってあの時俺女装してたし、化粧はしてないけど」
「知ってる。化粧してないことはこの前、生徒会室で話したじゃねぇか」
「あっ、そっか」
「だからあのてめぇと会った日、化粧してない女っていうのは不思議に思った。それで、ちょっとてめぇが無言なってる時によく匂い嗅いだら女じゃなくて男の匂いした」
「えっ、女と男ってそんな匂い違うわけ?」
「違う、全然違う。だから性別とかすぐわかる。そしててめぇはいい匂いがした」
うわぁ…性別まで匂いでわかるとかどんだけいい鼻してんだよ。
つかなんだよ、俺いい匂いなんかしねぇから、この変態。
もうそんなに匂いに敏感なら本当に警察犬になりなよ…。
というか警察犬も顔負けしちゃうだろうけど…。
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