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第66話

☆透 side☆ 「2年B組 井上 小春。聞こえるか?ま、答えは聞こえないけど。井上 小春、直ちに生徒会室にくるように。以上」 「ふざけんなぁぁぁぁぁ」 東条 千秋の放送内容に小春は叫んだ。 まぁ、叫けびたくもなる。 その叫んだ声にクラスにいる生徒が一斉に小春を見た。 大体は『何で?』見たいな目している。 事情を知らなければ俺もそんな目で小春のことを見ていただろう。 「透、俺午後の授業あるのに生徒会室なんていっていいわけ?」 少し怒った声で小春が俺に話かけてきた。 「生徒会の権限でそういう欠席は許されてる」 そう、この学校では生徒会メンバーからの呼び出しであれば授業であろうがなかろうが必ず行かなくてはならないという決まりがある。 それによって、授業であればその該当者はいなくても出席扱いになる。 それは生徒会メンバー…呼ぶ側も同じである。 俺はこの権限をあまり好んでいない。 だってあまりにも下らないし、別に呼ぶのなら昼休みや放課後でいいだろうと思うから。 「マジかよ…」 「いいから、小春。早く行け。これ以上千秋を怒らせるな」 千秋は怒らせると本当に面倒だから。 喧嘩嫌いだし。 多分、俺と柴崎2人かかっても無理だと思うぐらい千秋は強い。 「…はいはい。行きたくないけど行きますよ」 小春は教室のドアへいこうと歩き出す。 そんな小春に俺は 「小春、死ぬなよ」 と小声で言う。 相手が千秋だから。 でも少し大袈裟すぎたなと思って、冗談だとすぐ言おうとしたら… 「仮にそうなったら毎年命日に墓参りしてくれな」 と小春も小声で俺の予想外の返事をしてきた。 「縁起悪いこというなよ!」 俺は思わず大きい声で言ってしまった。 小春のことだから本当になりそうで怖い。 これは昔からいるから言ってるのだ。 そんな俺の考えも知らずに小春とドアに向かって歩いていった。 「……いってくるわ」 小春はドアから出る直前、笑った。 だから、俺は 「いってこい」 と言って小春を見送った。

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