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「小鳥遊部長自らご指導していただけるなんて嬉しいです。よろしくお願いします」  まさに体育会系だな。大きな肩を揺らしてハキハキと述べる岸本を見つめながらさっそく仕事を振る。 「ヤツシロ材建の受注表だ。先月のデータと確認して不備がないかチェックしてくれ。パソコンは事務員に聞けば貸し出してもらえる」 「わかりました。締め切りはいつですか?」  早速メモを取りながらこちらを見上げてくる岸本のつむじを見ながら考える。佐久間と違って台風の目のような荒々しいつむじだと思いながら言う。 「今日の午後4時までだ。俺が営業先から戻ったらすぐ確認する。やり方がわからなければ近くの先輩に教えてもらえ」 「わかりました。では失礼します」  一礼して研修室を出て行く岸本の背中を見つめる。部屋の前方では社内の内通電話の番号や営業先での名刺の渡し方などを百田が丁寧に教えている。小鳥遊はキジマ鉄鋼を宣伝するためのコマーシャル制作の打ち合わせのために広報部に向かった。  いい目をしている。  岸本に対する第一印象は合格だった。即戦力になることを予期して上司としての手腕が問われる。

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