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25 岸本の策略 R18

「……美味い」  思わず口から漏れた言葉を岸本は「ほんとですか」と食い気味に聞いてくる。軽く頷くとほっとしたように頬を緩ませた。 「ごちそうさん」  せめて洗い物でもするのが客人のマナーなのだろうが、勝手に連れてきたのは岸本なので小鳥遊は床の上にあぐらをかいて座っていた。小鳥遊はあまり家事が得意ではない。手伝ったら逆に新しい家事を生みそうなので地蔵のようにじっとしておく。  洗い物を終えた岸本が冷蔵庫から缶ビールを持ってくる。ふやふやと笑顔を浮かべて腰を下ろした。 「このステンレスのグラスがすごくいいんですよ」  と、わざわざグラスに注いで持ってきた。白い泡の立つグラスを傾け中のものを飲み干す。疲れた体に酒が染みていく。普段、小鳥遊は家で酒を飲むときは缶ビールなら缶ビールのまま飲み干すタイプだ。岸本のようにステンレスグラスなんていう洒落たものは持っていない。けれど、ひんやりと涼を感じられるグラスでの飲みくちはどこか真新しく、これはこれで宅飲みにはちょうどいいかもしれないと感じていたところだった。  俺を酔わせて話に持ち込むつもりか。だが甘いな岸本。俺は酒には強いほうだ。  ぐっと煽るようにして2杯目を飲み干す。少し驚いたように岸本は目を見開いたが、すぐにいつもの表情に戻る。 「お酒強いんですね、部長」 しみじみと尊敬するような目で見てくる。小鳥遊は少しいい気になってふふんと鼻で笑う。 「まあな。おまえはノンアルか?」 「そうですね」  見た目は変わらないのになと岸本のグラスに入ったノンアルコールビールを覗き込む。自然と距離が近くなって岸本は息を詰めた。  それから30分ほどたって、小鳥遊の身にある異変が起こり始める。疲れのせいかまた強い眠気が襲ってきたのだ。テーブルに肘をついてなんとか耐えるが、眠気は一向に治る気配がない。最近寝不足気味だったのが響いてきたのか。小鳥遊は己の自己管理能力に呆れた。 「部長? 大丈夫ですか」  岸本も異変に気づいたのか甲斐甲斐しくベッドまで運んでくれる。ふらふらと眩暈がして小鳥遊は頭を抱えた。このまま少し寝て頭を休めたい。よりにもよって岸本のような真意の掴めない男の部屋で寝ることに対してやや抵抗はあるものの、今はそれらを考えている余裕もないほどに眠気が勝るのだ。 「悪いな……しばらく仮眠させてくれないか。1時間でいい」  我ながら無茶なお願いだと思う。しかし岸本はなぜか嬉しそうに快諾した。眠りに落ちる直前、「馬鹿だなぁ」と低い声で呟く岸本の声が聞こえたような気がした。  下半身に熱が集まっていくような感覚に目が覚めた。小鳥遊は微睡の中で天井を見上げる。室内は真っ暗で窓の隙間から見える月の光だけが壁を照らした。  聞き覚えのある卑猥な水音が足の間から聞こえてきて耳を澄ます。 「っ!」  小鳥遊は息を止めた。スーツのズボンを下ろされ、しまいには履いていたトランクスまで下ろされた状態で岸本が股間に顔を埋めていたのだ。身を捩ると岸本がゆっくりと顔を上げた。 「あーあ。ここからがいいところだったのに」  悪びれもせずそう言う岸本を睨みながら、小鳥遊は内心焦っていた。  部下に寝込みを襲われるなんて考えられない。どうかしてる……。 「ストップ」  下着ごと上げようとした手を岸本に掴まれる。スマホを目の前に突きつけてきた。そこには下半身丸出しで眠っている俺の姿があった。 「おまえ……」  ふつふつと怒りが込み上げてくる。これは立派な犯罪だ。岸本はにこにこと笑ってこちらを見てくる。楽しげに、新しいおもちゃをもらった子どものように。 「甘いですよ部長。俺、あんな取引信じませんから」  そう言って再び足の間に頭を沈めていく。ぬるりとした舌が小鳥遊のものをなぞっていく。しばらく抜いていなかったそこはあっけなく成長していく。しばらく舌先で吸われたあとで岸本が手をかけてくる。竿の部分を骨張った手で扱かれ正直言って気持ちがいい。しかし小鳥遊はそれを全く感じさせないように無表情を保った。誰かに体を触れられるのは久しぶりで、素直に感じていくのを見ていると嫌気がさしてたまらない。 「っ……」

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