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41 産婦人科での検査 R18

「それではこちらの容器に精液を採取してきてください」  三井産婦人科の受付で保険証と診察券を渡した後に容器を手渡された。受付の女性の名前は四谷というらしく、小鳥遊は以前の電話の相手だったなと思い返す。隣にいる岸本はやや驚いたように固まっていた。四谷に促されるようにして個室に案内される。 「それでは採取が終わったら受付に持ってきてください」  部屋の前に立ち尽くす岸本に声をかける。 「おい。大丈夫か」 「あの、えっと……ここでするってことですよね?」 「ああ」 「めっちゃ恥ずかしいんですけど……部長は緊張してないんですか?」 「まあな。前にも受けたことのある検査だ。部屋の中に色々置いてあるから勝手に使えばいい」  じゃあなと言って小鳥遊は個室に入っていってしまう。岸本はおろおろしながら個室の扉を引いた。鍵がかかっているか何度もチェックしながら3畳ほどのスペースに座り込む。床はフローリングになっていて座椅子が置いてあった。  ゆっくりと腰を下ろして透明な容器をまじまじと見つめた。すぐ隣で小鳥遊も服を脱いでいるのだと思うと勝手に体が熱くなってくる。きっと小鳥遊は検査のためだけにする行為だというのに、岸本の頭の中には発情期の際に触れてくれた小鳥遊の温もりがよみがえってくる。 「……っ」  防音だから安心してくださいとは言われているものの、口を閉じて声を押し殺す。隣にいる小鳥遊に聞かれたくなかった。備え付けのローションを手に取りまだ兆しの見えないそれに塗りつける。くちゅくちゅと水音が響いて頭がぼんやりしてくる。だんだんと熱を帯びてきたそこに罪悪感を覚えた。しかし萎えてしまってはまた勃たせなければならないので、頭を振って快感を得ようとする。 「っは」  頭の中に浮かんだのは小鳥遊の吐息と熱い舌だった。肉厚な舌が自身の舌を撫でるように舐めてくれたことを思い出す。想像した瞬間ぞわりと腰が震えた。  またして欲しい……。  岸本はそっと自身の片方の指を口に突っ込んだ。  たしかこんなふうにしてくれた。  指を舌に見立て絡め合う。何度かそれを続けているとだんだんと下半身が兆してきた。すぐに容器を持てるように手元に置いておく。 「っはぁ」  そろそろ熱が弾けそうになるのを感じて懸命に手を動かす。隣ではカラリと扉が引かれる音がしたので岸本は小鳥遊が行為を終えたのだと理解する。  待たせちゃいけない……早くイかないと。 「岸本」   「うっ、あ!」  扉越しに名前を呼ばれた。その瞬間勢いよく精液が込み上げてくる予感がして容器を先端に当てがう。びゅく、びゅくと途切れ途切れに溢れる白濁を見つめながら大きく息を吐いた。  疲れた。それにしても名前を呼ばれただけでイくなんて……どうかしてる。 「……お待たせしました」 「早く渡しにいけ」   「はい」  賢者モードに入りつつある体を鞭打ってなんとか受付の前にたどり着く。果てたあとは強い眠気に誘われるのが常だった。無事に容器を渡し終えるとソファにどかっと座り込んだ。壁に頭を寄せて目を閉じる。  三井産婦人科は南向きに大きな出窓があるので、岸本の座っている席にはぽかぽかとした陽の光が差し込んでいる。それがまだ眠気を誘ってくる。向かいの席では小鳥遊が両足を組んでスマホを眺めている。こんなときにも仕事か、と出来る上司をぼんやりと見つめながら岸本は睡魔に襲われた。

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