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「積極的ですね……フェラのお返しだと思ってください。部長の好きなように動かしてもらって構いませんから」
口淫された手前拒否することはできなかった。指先を唾液をつけて濡らし岸本の昂りに指を這わす。男2人が立って扱いている姿はこの部屋には合わない。以前の恋人にしたのと同じようにいいところを探しながら指を動かす。
「ぁ……はっ……そこ、いいです」
「ここか」
こくこくと恥ずかしげもなく頷く岸本のおかげで早く済みそうだった。早くこの感触から離れたくて激しく上下に動かすと岸本はびくんと全身を震わせて果てた。
「ふっ……んん……っ」
女のような高い声を出して余韻に浸っている。腰から崩れ落ちそうになるのを腕を回して支えると2人の距離が自然と近づいた。
な、なんだ。
顔を近づけてきた岸本に目を見張りながら動けないでいると軽く唇を吸われた。安心したように笑う岸本は嬉しそうだった。小鳥遊は一瞬微笑み返しそうになったがそれを耐えた。岸本の体液は小鳥遊の指とフローリングを盛大に濡らしていた。急いでティッシュで拭取り窓を開ける。部屋に残影を残したくなかった。
それから簡単な朝食を済ませ帰りたくないと駄々をこねる岸本を引っ張りマンションの駐車場に向かう。嫌々と反抗する岸本を車内に放り投げ車を発進させた。岸本の住むアパートの最寄り駅までつくと、やっと家の住所を聞き出すことができた。
沿道に車を寄せて岸本に一声かける。
「今日1日で荷物を整理しとけ。明日知り合いのトラック運転手に荷物を運んでもらうように手配してある」
むすっとふくれていた岸本はぱっと目を輝かせる。
「わかりました! 明日の朝一番に出れるようにしますからっ」
連絡先を交換してから別れた。小鳥遊は明日からやってくる大型犬の世話のことを考えると意外にも嫌な気はしないのが不思議だった。
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