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「やめろ。おまえの気持ちは十分伝わった」  ぱあっと心が晴れていく。俺はすりすりと部長の胸に頭を擦り付けた。今はまだ抱きしめてもらえるとかキスしてもらえるとかの関係になってないけど、いつか絶対振り向かせてみせる。  部長は種無しのアルファだからと少し自分を過小評価しているようだが、種がなくたってアルファはアルファで逞しい体格もキレる頭も仕事ができるところも全部が部長を形作るパーツだった。そんな部長に社会人として強く憧れているし人間として好いている。好いているというより懐いているといったほうがいいかもしれない。 「んぁっ」 「静かにしてろ。早く終わらせないと集中して雑誌も読めない」  嘘。部長自ら動かしてくれるのか?  夢のような心地で部長がおもちゃを上下に動かしてくれる。自分とは違う力の込め方や動かし方がもどかしくて足の間に力が入る。部長の足の間に座らされてじっと上から見られている。それが顔から火が出そうなほど恥ずかしいのだが、そんな様子を一切見せずに強気で応じる。 「部長の手つき慣れてますね。以前の恋人にもこういうことしてたんですか?」 「するわけないだろう。おまえと違って自分のことは自分でするタイプのやつだったよ」  以前の恋人にはしたことがないという事実に胸がときめく。部長の初めてをもらえるのが俺の幸せだった。のほほんとしていると急に部長の手の動きが速くなる。 「うあっ……激し……っ」 「黙って感じてろ」 「んん……ぁあ」  ぐちゅぐちゅと卑猥な音がおもちゃから出ている。中はもうとろとろで自分の後ろもそんな感じなのかなと思うと背筋が震えた。だってこの間の部長もこんなふうに気持ちよかったのかなって思ったから。それだけで心拍数がどんどん上がっていく。

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