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 指を3本に増やしても後ろの熱は物足りなさそうにひくついている。それが恥ずかしくて辛くて前を激しく動かした。 「ん……あっ」  声を上げて果てる。びゅくびゅくと溢れるものが手のひらを汚していくのを俯きながら眺めていた。出したばかりだというのにすぐそこは上を向き始める。こうなってしまったらもう全てを吐き出すまで眠ることすらできない。ぐうっとお腹が鳴った。いつもなら夕食の準備に取り掛かる時間なのに。 「んっ……はっ……ぅう」  喘ぎ泣きながら自身を慰める。こんな体の自分を何度憎んできただろう。  早く帰ってきて……俺を助けて。  祈るような思いで目を閉じる。その間も体は簡単に快感に振り切っていく。 「うっん……んぁあっ」  もう何度目かもわからない精液を吐き出す。ベッドのシーツを濡らしてしまってさらに罪悪感で死にたい気持ちになった。ねばつくそれは下着を濡らしスウェットにもシミをつくっている。後ろから溢れる体液も下着を超えてスウェットとシーツをぐしょぐしょにしている。部長が帰ってきたらどんな顔をするだろう。こんな俺を軽蔑するだろうか。家から追い出すだろうか。考えただけで胸がヒリヒリと痛む。  正直明後日の研修会には出席できそうにない。せっかく数ヶ月も一生懸命働いてきたのに最後はあっけなく終わるんだ。鬱々とした気分が胸を覆う。とめどなく涙が溢れた。  しかし本能的に動いてしまう体を止めることはできなかった。後ろの刺激が足りなくてつい部長のものを想像してしまう。あれで蓋をしてもらえたらどんなにいいだろう。あれで指で届かない奥深くを突いてもらえたらどんなに楽になるだろう。想像しているとぎゅっと後孔が窄まった。  浅ましい……こんなんじゃ軽蔑されるに決まってる。  顔を涙で濡らした顔できちんとおかえりなさいと言えるだろうか。こんな自分を見られて平静を保てるだろうか。きっと無理だ。こんな姿誰にも見られたくない。ましてや部長には絶対に見せたくなかった。

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