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胸騒ぎがして終業後にすぐ家に向かった。昔から小鳥遊は勘が鋭いところがあった。
俺の気のせいであってくれ……。
電車に揺られながら確認のために岸本にメールを送る。いつもは数分とたたず帰ってくるのに、30分経っても返事がない。
マンションの下に着くと胸のざわめきはさらに大きくなった。部屋に向かうのも早歩きになる。
「うっ」
玄関のドアを開けた瞬間、嗅ぎ慣れた匂いが鼻をついた。急いでドアを閉める。靴を揃えるのも忘れて匂いの濃い寝室に向かう。
「!」
目に飛び込んできた瞬間、カッと体が焼けるような痛みを覚えた。心音が早まりスラックスの股間部がきつくなる。小鳥遊は勃起していた。
「ぶ、ちょ……すみませ、俺……ベッドよごしちゃいました……」
ぐったりとベッドに横になる岸本を見て唖然とする。間違いない。この状態は発情期の何ものでもなかった。足の間が痛みを帯びてくる。今にも岸本に飛びつきたいのを必死で抑えた。しかしなぜ? 番の契約はしたはずなのに。
涙の溜まった瞳を潤ませて岸本が見上げてくる。その間も岸本は忙しなく手を動かしていた。苦しげに眉を顰めて自身を追い詰めている。その姿にツキンと胸が痛んだ。おそらく誰にも見せたくない姿のはずだ。
小鳥遊は自然と足がベッドに向かっていた。そのままゆっくりと岸本の体を抱きしめる。怖がらせないように優しく手を回した。
「あ……」
岸本が静かに息をのむ音が聞こえた。脱力するように体重を預けてくる。
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