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72 【番外編】大型犬の寝込みを襲う狼 R18
荒々しいつむじに、まずはキスを落とす。岸本はいつも横向きに眠る。俺はそれを後ろから抱え込むようにして寝るのが常だった。
シャンプーの香りなのか、はたまた岸本の体臭なのか、オメガの放つフェロモンが少し出てしまっているのか。
とにかく岸本からはいい匂いがする。日向ぼっこしてる猫を抱き上げたような、そんな匂いだ。
まだ目が覚めない岸本の体に触れる。それが朝一番にする俺の儀式だった。最初は邪な思いなんてなくて、ただ好いた男の体を触っているだけだった。でも、いつしか俺の悪戯な心が邪魔をしてきて。
「っ」
ぴくん、と岸本が反応した。顔を覗き見るが、まだ眠っているらしい。安堵してそのまま手を動かす。着ているTシャツの上から胸を弄る。もう何度も触れているそこは、見なくてもわかるほどつん、と上を向いている。指先でかりかりといじってやれば、岸本の体が少し動く。
こいつはわりと寝ぼけるタイプだな。
内心笑みを浮かべながら、手を動かすのをやめない。腰回りに手を回したとき、硬いものに手が触れた。布団を持ち上げてみると、テントを張っている。
若いな……。
そう思って、朝から張り詰めてしまっている岸本のものに手をかける。ハーフズボンの上から撫でると、岸本が無意識に身を捩る。
ああ。こんなに硬くして。さぞ、辛いだろう。
それは本心だった。朝勃ちの辛さは、男にしかわからないと小鳥遊は思う。
たまにはシてやるか……こいつの体にはいつも無理をさせているし。
それもそのはず。昨夜は朝方まで岸本を抱き潰したのだから。それもあいまって、岸本は眠気に勝てずに寝入っているのだろう。
岸本のハーフパンツを下に下ろす。ボクサーパンツを押し上げるものに指をかけた。先端を人差し指の腹でくるくると刺激してやる。もう片方の手は、岸本の胸の突起をいじる。
自分でも体の熱が上がっているのがわかる。恋人の寝込みを襲うことに興奮していた。こいつは目が覚めたらどんな顔をするのか。それが、見たかった。
ボクサーパンツを下ろして、直に岸本の昂ったものに触れる。熱い。裏筋を念入りに擦ると、岸本の腰がびくっと跳ねた。それでもまだ起きない。
岸本のことを追い詰めていると、不意に口元から吐息が出るのを聞いた。
「……おまえ起きてるな」
「はっう」
ぎゅっと岸本のものを握り込むと、はっきりとした反応が帰ってきた。岸本はしどろもどろになって弁解しだす。
「だ、だって。小鳥遊さんがこんなことしてくれるの夢みたいで、その、気持ちいし……目が覚めてびっくりしてあんあん言うのも可愛いかもしれないけど、俺そんなキャラじゃないし」
弁解している間も手の動きはやめてやらない。だから岸本は耳まで紅潮させて呟く。
「ほんと、勘弁してください。こんな……」
続きの言葉は言わせない。寝起きの岸本の顔は、ぽやぽやしている。それが可愛らしくてたまらないのだ。その桃色の唇に自身のものを合わせると、口元の力を抜いて岸本が俺の頬に手をかけてきた。
「……ん」
微かな吐息が岸本の口からもれる。俺は岸本の口内をくまなく暴き、岸本を限界へと追い詰めていく。もう一度、先ほどより大きく体を震わせて眉をひそめる岸本を見下ろす。そこで俺は手を離した。
「え?」
もう少しだったのに、そんな声が今にも聞こえそうだった。岸本は物足りなさそうな目をして俺を見上げる。
「雄馬。どうされたいか言ってみろ」
「なっ」
かああ、と頬を赤面させて目を泳がせる岸本を見ていると飽きない。少し黙った後、意を決したように岸本の口が動く。
「イ、イかせてください」
「わかった」
岸本の先端から溢れる滑りを利用して、手の動きを早める。よほど気持ちがいいのか、岸本は背中を弓のようにそらして感じている。
「ん……くっ」
苦しげな表情。ああ、何度見ても愛おしい。
だから俺は耳元で囁く。
「イけ。雄馬」
「っはぁ。小鳥遊……さん」
岸本は俺の名前を呼んで達した。白濁が俺の手とシーツを汚す。しかし俺はそんなことも気にならないくらい、満足していた。昨夜存分に吐き出させたからか、色が薄い。お決まりのように指先についたものを舐めると、岸本が口をぱくぱくとさせて硬直する。
「小鳥遊さんはほんとうに狼みたいですね」
恥ずかしがっているのか、岸本が頭まで布団をかぶって言う。その頭らへんを撫でながら俺も口にする。
「お前はやんちゃな大型犬みたいだ」
「……大型犬は嫌いですか?」
少しむくれているのか、岸本の声が幼い。俺は布団を剥ぎ取ると、岸本の口に触れるギリギリで言ってやった。
「嫌いじゃない」
かぷ、と岸本の上唇を噛む。甘噛みされたことに驚いたのか、岸本の目はまんまるだ。その瞳が満月ように丸くて、煌めいていて。俺は柄にもなく愛していると大声で叫びたくなった。岸本が俺を狼だと言ったのも頷ける。
こうやって毎朝、岸本の寝起きの顔をいつまでも見ていたい。すぐ隣で、俺が触れられる距離で。
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