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「岸本、ありがとな」 「なんですか? 聞こえなかったんですけど」 「いや、なんでもない」  教えてくださいよーと迫ってくる岸本の肩を押してまっすぐ歩くように誘導する。分厚い雲の隙間から真っ青な空が顔をのぞかせていた。その空の下で2人の影が重なり合っていた。

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