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そうだろうか? 小鳥遊部長は真剣に話をしていて間違いなんてなかったと思うが。俺は課長の顔を眺めながらそんなことを考える。部長はなんて返すんだろうと思って横を見たそのとき。
「ご指摘ありがとうございます。昔から仏頂面と言われておりまして、今後の課題として精進していくつもりです」
はきはきと答え、ついでに爽やかさ100%のスマイルを添えて言った。俺はびっくりして部長の横顔をまじまじと見つめてしまう。この人こんな顔もできるんだ。っていうか部長がこんなに笑うところ初めて見たかも……。爽やかで好青年という言葉が頭に浮かぶ。部長にとっては営業職が天職と呼ぶべきだろう。
「それではよろしくお願いいたします」
谷崎さんと部長が固い握手をするのを見つめながら俺は先程の部長の笑顔が頭に焼き付いて離れない。いつかあの笑顔を俺だけに見せてほしい。
「お疲れさん」
本社に戻ると米原さんにそう声をかけられた。お辞儀をして昼食を取るために食堂に向かう。すると数メートル先に部長の姿があった。他の部署の人と話をしているらしい。この食堂にはほとんどアルファしかいないのだが、時折席の端っこにオメガと思しき人が座っている。体格、雰囲気からしてアルファとは異なる。見た目でわかることも多いが、自分のように見た目ではわからないケースもある。自分を逞しい男として産んでくれた母には感謝しかない。
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