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「岸本。もういい」  目の前で直立していた部長が枕元に口を近づけた。涙を指の腹ですくうと困ったように微笑んでくる。 「SEXしようか」 「っ」  あの堅物な部長からセックスなんて言葉が出てくるなんて、とさすがの俺も動かしていた指が一瞬だけ止まった。しかしまたかぁぁっと熱を帯びてきてしまい手が激しく動き始める。これじゃあその言葉に興奮しているみたいじゃないか。 「岸本脱がすぞ」 「あ……」  ゆっくりと服を脱がされる。ほんの些細な刺激でも感じてしまう。なるべく布が擦れないように気をつけてくれている。部長の優しさが指から伝わってきて胸が打ち震えた。 「んあっ……」  部長の指が肋骨のあたりをさすってくる。滑らかな動きで恥骨のあたりから脇までのラインを一直線で撫でられると腹の奥がふつふつと煮え立つようだった。裸にされたまま自身を追い詰めていると小鳥遊部長が素早く服を脱いだ。ログハウスの中がオレンジ色の光で溢れる。筋肉質な胸が目の前に近づいてきた。そのまま2人でベッドに横になる。髪を撫でる部長の手つきは柔らかい。少しだけ気持ちが落ち着くような気がした。 「岸本……」  心底心配するような声で部長が名前を呼ぶ。黒曜石のような綺麗な瞳がこちらをのぞいていた。小鳥遊部長の屹立したものが俺の太腿に当たる。きっととてつもなく我慢をしているはずだ。俺以上に辛い思いをしているかもしれない。そう思うと体は素直に反応した。キスを求めて小鳥遊部長の唇にかぶりつく。俺が上になって部長の体をベッドに沈めた。爛々と光るライトの下では恥ずかしいところも丸見えで隠すことなんてできない。

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