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天海恭平は甘党だ。そして俺も甘党だ。
だから自然と2人でのデートはカフェか甘味処が多い。今日は7回目のデートになる。この間の有給休暇のときは温泉にも泊まった。でも、紳士な彼は手を出してこなかった。優しくされているのだと心から感じる。この関係が自分には奇跡のように思えた。自分が本当に天海さんの運命の番なのか疑ってしまうほどに。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
今日は仕事終わりにディナーに呼ばれた。都内のホテルの最上階にあるイタリアンレストランだった。そこは展望席があり、眼下の景色がよく見える。白銀の食器が置かれた席に座る。テーブルマナーも天海から一通り教わり、失敗することは減ってきた。
付き合ってから2ヶ月になる。仕事がどんなに忙しくても天海さんは嫌な顔ひとつしないで俺に接してくれる。愛されているのだと全身で伝えてきてくれる。それが素直に嬉しかった。
ライバル会社なので仕事の話はあまりしないようにしている。それは天海さんも同じだった。だからデートのときは学生時代の思い出話なんかを話した。
天海さんは学生時代サッカーをやっていたという。俺も高校まではサッカー|一筋《ひとすじ》で、大学ではフットサルをやっていたことを伝えると、今度対決しようと言われた。同じ趣味の相手と初めて出会ったせいか、波長が合うなと直感的に思った。
「ごちそうさまでした」
食事を終えて手を合わせる俺を、天海さんはいつも優しい顔で眺めてくる。この時間が幸せだった。展望席から窓の外を見下ろすと、すでに陽が落ち始めていた。そろそろお酒を飲み出す頃かなと思って楽しみにしていると、天海さんは俺をじっと見つめてきた。その視線が力強くて、俺はどきどきと胸を高鳴らせる。
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