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 俺は無意識に涙を流していたらしい。止めどなく溢れるそれは、シーツに染みを作っていく。 「す、すいませんっ俺」 「無理しなくて良いよ。今日はお酒も飲みすぎたし、このまま寝ようか」  嫌悪感など一切見せずに天海さんがベッドに寝転ぶ。俺と少し距離を置いて横になる優しさに胸が痛む。  俺は一体どうしてしまったのだろう。  その夜は寝付きが悪かった。隣ですーすーと吐息を立てる天海さんを見ながら、ゆっくりとまぶたを閉じた。

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