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2人並んで歩いて小鳥遊の自宅に帰った。岸本がドアを閉めた瞬間、小鳥遊は岸本の頭を抱えて深く口付ける。掠れた吐息が、岸本の口からこぼれた。嫌がっている素振りはない。
廊下までそのまま進むと、ベッドがある寝室に入った。小鳥遊は器用にサイドテーブルに置いてある間接照明をつける。ほんのりとオレンジ色に色づいた光が部屋を照らした。岸本の横顔にも光が当たる。それが綺麗だと小鳥遊は思った。
「ふっ……ん」
スーツが乱れることなどお構いなしで、小鳥遊は岸本を押し倒す。岸本も全身の力を抜いて小鳥遊にその身を捧げていた。
ちゅくちゅくと甘い水音が2人の間から生まれる。その愛おしい顔を見つめるため、小鳥遊は一度口を離した。お互いの唇から白銀の糸が垂れる。
なんて顔をしているんだ。お前は。
とろんと熱に浮かされた様な瞳でこちらを見つめる岸本に、心臓を鷲掴みにされる。今すぐにでも抱いて、めちゃくちゃにしてやりたい。そんな邪な欲望が身体を支配しそうになる。それを耐えて、ただ上から覆い被さる様に抱きしめた。
ワックスで固められた岸本の髪が崩れている。整髪剤の匂いだろうか。シトラスの香りが鼻をついた。指先から想いが伝わる様にと優しく頬を撫でる。一瞬だが、岸本はぴくりと身体を動かしたがすぐに脱力した。惚けているような顔で小鳥遊のことをじっと見つめてくる。
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