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「……この遅漏がっ」
顎が疲れ出したのかそんな悲鳴をあげる岸本を見て、にやりと笑ってしまう。そうなのだ。俺はそんなに早く果てるほうではない。
岸本のエロい仕草が見える特等席だと俺は思う。だから、俺のものから口を離して息を荒げる後頭部をそっと撫でた。ぴく、と岸本が反応する。
「大きい猫だな」
さわさわと前髪を撫でてやれば、ごろごろと喉を鳴らして俺の膝に頬を乗せてくる。たまには猫化した岸本を見るのも一興だな。
そのあとは存分に岸本の顎を疲労させて、欲しがりな猫に構ってやった。
岸本は寝る時まで猫耳をつけていたので、頭が痛むだろうと思いそっと外してやる。ハロウィンなんて特別なイベントではなかったのに。こいつといると、全てが違う。華やかな催しはさらに華やかに。岸本は俺の知らないことで俺を満たしてくれる。
こんな日がいつまでも続けばいい。そんなささやかな願いを胸に目を閉じた。
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