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「……ん」
微かな吐息が岸本の口からもれる。俺は岸本の口内をくまなく暴き、岸本を限界へと追い詰めていく。もう一度、先ほどより大きく体を震わせて眉をひそめる岸本を見下ろす。そこで俺は手を離した。
「え?」
もう少しだったのに、そんな声が今にも聞こえそうだった。岸本は物足りなさそうな目をして俺を見上げる。
「雄馬。どうされたいか言ってみろ」
「なっ」
かああ、と頬を赤面させて目を泳がせる岸本を見ていると飽きない。少し黙った後、意を決したように岸本の口が動く。
「イ、イかせてください」
「わかった」
岸本の先端から溢れる滑りを利用して、手の動きを早める。よほど気持ちがいいのか、岸本は背中を弓のようにそらして感じている。
「ん……くっ」
苦しげな表情。ああ、何度見ても愛おしい。
だから俺は耳元で囁く。
「イけ。雄馬」
「っはぁ。小鳥遊……さん」
岸本は俺の名前を呼んで達した。白濁が俺の手とシーツを汚す。しかし俺はそんなことも気にならないくらい、満足していた。昨夜存分に吐き出させたからか、色が薄い。お決まりのように指先についたものを舐めると、岸本が口をぱくぱくとさせて硬直する。
「小鳥遊さんはほんとうに狼みたいですね」
恥ずかしがっているのか、岸本が頭まで布団をかぶって言う。その頭らへんを撫でながら俺も口にする。
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