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「ただいま」
「おかえりなさーい」
リビングの方から岸本の声がする。小鳥遊は足早に廊下を歩いていった。
「雄……っ」
まで言いかけたところで、息を飲み込む。
「あ、お先シャワー浴びました。お風呂沸いてるんで、入ります?」
腰にバスタオルを巻いただけの岸本の姿に、ドギマギしてしまう。目線が自然と岸本の下半身に向いた。
なんだっていうんだ。いつもは俺の寝巻きを強奪してぴちぴちの俺シャツ状態でいるはずなのに……(小鳥遊部長は内心嬉しさやら、岸本が風邪ひかないかと不安になっています)
「あ、ああ。そうだな。先に入る」
「いってらっしゃーい」
と、岸本ののんびりとした声に背中を押されてシャワーを浴びにいく。お風呂に浸かっている間も、悶々とした気持ちは消えない。
なんだ。あの今にも襲ってくださいと言わんばかりの格好は。俺は、誘われているのか? 今日はそういう気分なのか?
だめだ。考えただけで身体が火照りそうだ。小鳥遊は勢いよく立ち上がると、お風呂場を後にした。
リビングに戻ると、岸本の姿がない。おかしいなと思って辺りを探ろうとした瞬間、後ろから思い切り体重を乗っけられた。重い……。腰が……。
大型犬にでも乗っかられたみたいだ。岸本は、俺の身体にぎゅっと両腕を重ねる。そうして、耳たぶを噛んできた。だいぶ甘噛みだが、ちくちくとする。
「部長、興奮してます?」
小鳥遊は急変した岸本の雰囲気に振り回されまいと、自然な対応を心がける。
「興奮はしていない。ただ……重い」
「俺の愛が、ですか?」
先程から岸本の下半身がぐりぐりと腰の辺りに押し付けられてどうにかなりそうだ。ちゃんとそこは兆しているようだし。熱いし……。
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