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寝室のベッドに下ろされる。岸本はバスタオルを脱ぎ捨て、俺の身体を押し倒した。ぎし、とベッドが鳴る。
岸本は濡れた俺の髪にキスを落とすと、本格的に服を脱がしてくる。脱がし終わった後で、岸本の動きが1度止まった。何やら、先程見た小型のカメラをベッドのサイドテーブルに設置しているらしい。ほんとうに撮られるのか。自分の唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
「はい。準備完了」
のしっと俺の身体に抱きついてくる岸本の熱が、あまりに昂っていてさぞ辛かろうと思う。気づけば俺もだいぶ首をもたげてきている。2人してこのままでは生殺しもいいところだ。
「たまには、小鳥遊さんからちゅーしてください」
そんなに顔を近づけるな……。最近は岸本主導で致すことが多かったせいか、なんだか気恥しい。
「ねえ。早く」
首筋をさらりと指で撫でられ、くすぐったい。恋人からの頼みだ。期待に応えてやらなければ。
「ん……」
触れるだけの軽いキス。唇に押し当てるだけ。ふに、とした岸本の柔らかい唇の感触。果実のように艶がある。それを何度か繰り返していると、岸本の手が後頭部に回った。気づけば逃げ場が無くなっている。
「んむっ」
口内に舌を捩じ込まれ、追いかけられる。舌先が生き物のように這いずり回る。歯列をなぞって、舌をなぞられて。飲みきれなかった唾液が、口から零れる。それを許さないというように、口周りを舐められる。お前は犬か、と本気で思った。
「部長。顔、真っ赤」
耳元に落とされた言葉に、自分の体の熱がぐんと上がっていくのがわかる。
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