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6 花嫁の役目
「あの、領主、様……」
「その領主様というのは好きじゃない。花嫁からは、ぜひ名を呼んでもらいたいんだが」
「ヴァイル、さま……あの、なにを……?」
「寝る前に言っただろう? 目覚めたら花嫁の役目を果たしてもらうと」
「花嫁、というのは……」
「花嫁は花嫁だ。なんだ、土地の者たちからは何も教えられなかったのか?」
「……それは、」
「おまえも花嫁になることに異存はないのだろう? ならば問題あるまい」
「でも、……僕は、その、……男、で」
「知っている。あの夜、ここが滾っているのを見たからな。それに、わたしの足に擦りつけて達しただろう?」
「ひぅ……っ」
そう言って隣に横たわったヴァイルの冷たい手が、シュエシの下半身をそっと撫でた。それだけでシュエシの性器はムクリと首をもたげてしまう。
「相変わらず感じやすい体だな」
「そ、なことは、……っ」
「ほら、胸もすぐにこうだ。あの夜も、こうしてぷっくり膨らませていたな?」
「それ、は……、そうやって、触るから、ぁ……っ」
「嘘はいけない」
あの夜と同じようにヴァイルに笑われている。それがシュエシを咎めているように見えて、一瞬体がすくんだ。しかし自分を見る黄金色 の瞳が優しいままなことに気づき、ホッとして体から力が抜ける。直後、また胸を弄られて体が小さく震えてしまった。
「ほら、もうこんなに尖らせて、厭らしいこと、このうえない」
「や……っ、そこ、ばかり……っ」
「では、ほかのところも触って差し上げましょうか、奥様?」
執事のときのような言葉を囁かれ、シュエシの体がビクン! と跳ねた。顔はジワジワと熱を帯び、体がジンジンと疼く。それはあの夜、シュエシが執事であったヴァイルに初めて教えられた快感の始まりと同じだった。
「……おまえは本来のわたしよりも、執事だったわたしのほうに感じるようだな」
「……ちが、っ、ます……」
「少々、悪戯が過ぎたか。今度は、こちらのわたしに感じてもらいたいものだが」
そう言ったヴァイルの手が、今度は太もものあたりを優しく撫でた。冷たい感触と寝衣がこすれる感覚に思わず腰をねじるように動かせば、すぐ近くでクスクスと笑う声が聞こえる。笑いながらもヴァイルの唇は首すじに口づけを落とし、あまりの冷たさにシュエシの上半身はビクッと跳ねてしまった。
その間も太ももを撫でるヴァイルの手は止まることなく、そのうち寝衣の裾はまくられ、冷たい手が直接肌に触れていた。首すじに口づけながら震える花嫁の姿を見ていたヴァイルは、先ほどからずっと小さく笑っている。
「我が花嫁は思った以上に敏感なようで、なによりだ」
「敏感、じゃ……っ」
「では、淫乱と言ったほうがよかったか?」
「ちが……っ!」
「あぁ泣くな、冗談だ。いや、淫乱であるなら願ったり叶ったりといったところだがな」
「ひゃっ! な、いや……ぅ……っ」
すっかり滾ってしまった性器を下着の上から冷たい指に撫でられ、激しく腰が跳ねてしまった。これではヴァイルに淫乱だと言われても仕方がなく、それがひどくみっともないことのような気がして涙が出そうになる。
シュエシは慌てて目を瞑り、厭らしい声が出ないように唇を噛みしめた。
「……やれやれ、子どもは面倒だな。だが、これはこれでそそられる」
囁かれた内容を理解する前に、後頭部に手を差し込まれてグイッと頭を起こされた。驚いて目を開けると、耳元でヴァイルの艶やかな声がした。
「ほら、下を見てみろ。おまえがいかに厭らしいかが、よくわかるぞ」
言われるがまま視線を向けた先には、寝衣がたくし上げられ露わになった下半身があった。しかも小さな下着から滾った性器の先端がヌッと出ていて、つるりとした先からはツプツプと透明で厭らしい雫が吐き出されている。
「女の下着からこんな厭らしいものを覗かせて、これでも淫乱じゃないと言えるか?」
「ぁ……ちが、」
「ほうら、次々と滴り落ちてくる。……厭らしいな」
「や、……ぃや、だ……触らな、で……ひんっ! や、あ……!」
先端を冷たい指でグリグリと弄られ、雫をヌチャヌチャと塗りつけるようにされ、シュエシはあっという間に絶頂へと導かれてしまった。うっすら開いたままの目には、トプトプと濁った欲望を吐き出している自分の性器が見える。
吐き出したものが自分の腹や繊細な模様の入った下着を濡らし、まるで粗相をしたかのようで恥ずかしくてたまらなかった。それでも視線を逸らせずにいると、自分の汚れた腹にヴァイルの綺麗な指が近づくのが目に入った。
ぼんやりと綺麗な指の動きを目で追った。臍のあたりに溜まっている白濁に触れ、それを混ぜるように動く。ぬちゃぬちゃと音を立てる厭らしい仕草は見ていられないほど恥ずかしいのに、どうしてかその様子から目を逸らすことができない。
その指が下着から飛び出したままのシュエシの先端に触れ、滑って汚れている蜜口をグリグリと弄りだして「ひぁっ」とみっともない声が出てしまった。まだ敏感なそこは少し触れられるだけでジンジンとした快感を訴えきて、また腹の奥が熱くなってくる。それを知っているかのようにヴァイルの冷たい指は何度も蜜口に触れ、割れ目を抉るようにして欲望の残滓を指に絡め取った。
その指がゆっくりとシュエシ自身から離れるのを、操られるかのように目で追った。白濁をまとわせた綺麗な指が、シュエシのすぐ近くにあるヴァイルの美しい口元に近づいていく。そうして指が唇に触れたかと思うと、赤い舌がペロリと白濁を舐め取るのがはっきりと見えた。
「……ふむ、こちらも甘いな」
言葉を聞いた瞬間、シュエシの体も頭も熱が出たようにカッとなった。
いまヴァイルが舐め取ったのはシュエシが淫らに吐き出したもので、そんなものを美しいヴァイルが口にしたのが信じられなかった。同じくらい厭らしく感じられて、吐き出したはずの下半身が淫らに痺れ始める。腹の奥がズクズクと疼き、どんどん熱が上がっていく。
初めての感覚に戸惑っていると、急に腹の奥から強烈な快感がせり上がってきた。腰は小さく震え、太もももビクビクと震え出す。驚き困惑しながら、得体の知れない感覚に腹にギュッと力を入れた瞬間――シュエシは「ぁっ」と小さく声を上げて、ブルリと腰を震わせた。
「なんだ、ひとりで達したのか」
滾ったままの先端からは、濁った蜜がトプ、トプと吐き出されていた。そう、シュエシは体のどこにも触れられることなく、ただ淫靡なヴァイルの仕草を見ただけで昇りつめてしまったのだ。
「な、んで……ど、して……」
「わたしの力のせいだろうな。我らは人を淫らに興奮させることができる。自我をなくす者もいるくらいだが、おまえにはちょうどよく作用しているのだろう。それでも、自我を保ったままこれほど猥 りがましくなるのは珍しいが」
「……僕、は……」
「あぁ、だから泣くな。責めているわけじゃない。むしろ喜ぶべきことだ。わたしは昼は貞淑でも、夜は淫らな花嫁のほうが好ましいと思っている」
「ヴァイルさま……」
「さて、熱い体を持て余した花嫁を慰めることとしようか」
そう言って笑うヴァイルは、いままで見てきたどの彼よりも美しく厭らしかった。
「や、あ……! やだっ、や、……ぁ、ぁっ、ひんっ!」
「嘘をつくな。ほら、ここは悦んで咥え込んでいるぞ? ……っく、そう、食い締めるな」
「ちが……! ひぅ、ぁうっ、んんっ!」
うつ伏せになったシュエシは涙で濡れた頬を枕に押しつけ、指で敷布をぎゅうっと握りしめた。
二度の吐精でグッショリと濡れた小さな下着は取り払われ、たくし上げられた寝衣は肩のあたりにグシャッと寄せられてしまい寝衣としての意味をなしていない。何も身につけていない尻は高く上を向いていて、まるで背後にいるヴァイルに見せつけているようだった。
それを想像するだけでシュエシの腰は震え、ヴァイルの楔を咥え込んだ孔がキュウッと締まる。そうするとシュエシ自身も気持ちがよくなり、さらに腰が震えてしまった。
「はっ、東の国の者は、ここの具合もよいのだな」
「ぁっ、あっ、あぁぁっ……!」
貫かれて痛みを感じたのは最初だけだった。激痛と不快感に強張ったシュエシを優しく抱きしめ、なだめるように肩や腕を撫でるヴァイルの冷たい手に、少しずつ強張りも解けた。そうして少し落ち着いたとき、首すじに小さな痛みを感じたのが快感の始まりになった。
チクッとした痛みはほんのわずかで、そこからジワジワと熱のようなものが広がり、あっという間にジンジンとした疼きが体中を駆け巡った。それはすぐに我慢できないくらいの快感に変わり、気がつけばシュエシのほうからどうにかしてほしいとヴァイルにすがりついていた。
そんなシュエシに向けられたヴァイルの笑顔は、ゾクッとするほど美しかった。見惚れている間に咥えたままだった楔が動き出し、そこからは波に飲み込まれるように快感に溺れた。
楔による初めての絶頂は、正面から抱きしめられたまま迎えた。それからジンジンとした快感が収まることはなく、シュエシはずっと小さな波が近づいたり遠ざかったりする悦楽に飲み込まれたままだ。
いまも後ろからガツガツと獣のように犯されるのが、どうしようもなく気持ちよかった。しかしそれを認めてしまえば本当に淫乱になったような気がして、とてつもなく怖かった。だから必死に声を我慢しようとしているのに、楔が抜けようとするのにブルッと震え、奥に突き込まれるのに感じて厭らしい声が漏れてしまう。そんな自分をヴァイルに指摘されるのは恥ずかしいのに、こんなふうに悦 がる自分にどうしようもなく興奮もした。
シュエシは、まるで昔から淫乱だったかのような自分が恥ずかしくて仕方がなかった。ヴァイルに蔑まれるのではないかと怖くなった。それでも止まらない快感と興奮に、次々と涙が溢れてしまう。
「くっ、おまえは……。泣きながら食い締めるのはいいが、どうせなら悦 がって泣いてほしい、ものだな」
「ぁん! ん……っ、ぁあっ、そこ、やあ……っ」
「気持ちがいいのなら、素直に溺れればいい。……ほら、ここが悦 いのだろう?」
「ひぁあんっ! や、……やだ、いや……ぁあっ!」
激しく感じてしまうところを硬い楔で擦られ、厭らしい声がますます大きくなる。ヴァイルによって暴かれたそこは、擦られるたびにビリビリと強烈な快感を放った。そのままヴァイルが覆い被さってきたせいで楔がグッと奥に挿し込まれ、シュエシの背中がビクンとしなる。
「いい具合に熱くなっているな。……さぁ、芳醇な血を堪能するとしようか」
ヴァイルの熱い息が首すじに当たったのがわかった。冷たい舌が首すじをベロリと舐め、はだけた肩先まで冷たい感触が移動する。そうして何度も首すじと肩先を舐められることに震えながらも、シュエシは段々と物足りなさを感じ始めていた。
腹の奥にある熱い楔が、奥を突いたまま動いてくれない。散々いいように擦り上げられたそこは淫らな熱を放っているのに、快感を与えてくれるはずの楔は動こうとしない。それがもどかしく、早く動いてほしいと願ってしまった。
初めての行為だというのに、シュエシの体は快感を得たいのだと貪欲に疼いていた。
熱いもので擦ってほしい、硬い切っ先で突いてほしい、奥をもっと抉ってほしい……。
そんな淫らな欲望で溢れそうになったとき、首すじにズクンとした重い痛みを感じた。ちょうど首と肩の境目くらいの場所で、尖ったものがグッ、グッと入り込んでくるのをはっきりと感じる。それは激しい痛みを伴うもののはずなのに、どうしてかシュエシは痛みを感じることもなく、全身をブワッと熱のようなものに覆われた気がした。
そう感じた瞬間、背骨を恐ろしいまでの快感が滑り下り、腰の奥をビリビリと刺激した。激しい快感はヴァイルを咥えている肉壁をも刺激し、逞しい楔をグニョグニョと味わうように勝手に動き出す。
そうするとジクジクとした熱とヒュッと駆け抜けるような快感が交互に襲ってきて、気がつけばシュエシの腰はカクカクと前後に揺れていた。もちろんシュエシが意図して動かしているわけではなく、口から濡れた吐息が厭らしく漏れていることにも気づいていない。
「……あぁ、我が花嫁の血は、どんな酒にも勝る美酒のようだ」
ヴァイルの囁くような声が聞こえたあと、再び首すじに重い痛みが走り、今度こそシュエシは快感で体を激しく震わせた。勃ち上がったシュエシ自身からは断続的に薄く濁った蜜が吹き出し、そのたびにピクンピクンと竿が跳ねる。楔を咥え込んだ孔はチュウチュウと吸い上げるように蠢き、それがシュエシを余計に感じさせた。
「ぁ、ぁ……ぁんっ! んっ……んぅ……」
吐息のような嬌声を漏らしながら、体は激しい快感にブルブルと震え続ける。不意に首すじをベロリと舐め上げられ、口づけられ、シュエシの口から「ぁあん!」と厭らしい声が上がった。
それにヴァイルがほくそ笑むが、うつ伏せのままのシュエシには見ることは叶わない。それどころか、先ほどまでヴァイルに血を吸われながら腹の奥をガツガツと抉られていたことにも気づいておらず、奥深くに大量の精を塗り込められたことにも気づいていなかった。
「これでおまえは、間違いなくわたしの花嫁になった。……あぁ、また気を失ったか。まぁ意識がなくともかまわんが」
美しい笑みを浮かべながらそうつぶやいたヴァイルは、クタリとしているシュエシをさらに犯し続け、腹の奥から溢れるくらい精を吐き出し続けた。
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