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第4話 アナルプラグ(*)

「ふぁ、はぁっ……!」  四つん這いでシーツを掻いていた腕が崩折れ、腰を突き出した卑猥な格好で颯太は喘いでいた。  藍沢に対する羞恥心は、体内に挿れられたアナルプラグのせいで、一時的に磨り減ってしまっている。  今回試したアナルプラグは一番小さくスリムなタイプで、大人の男性の手首の付け根から親指の先ほどの太さと長さで、細くなった根元の部分を経て、底辺は丸く平らだった。底に直径一センチ、深さ十センチほどの穴が空けてあり、指に装着して使用することもできるのが売りだ。  藍沢は根元の部分に指を添えて支え持ち、まだ全部を入れていなかった。それでも、先ほど藍沢の指で暴かれたポイントをプラグが掠め、中途半端に抜き差しされるたびに快楽が募る。 「いきそうですか?」 「ん、っ……」  藍沢が問えば、乱れてろくに返事もできない。  颯太は無意識のうちに尻を高く上げ、藍沢の支え持つプラグを締め付けてしまう。 「鍵咲さん」  甘い声で呼ばれるたびに、快感が満ちる。入っているのはただの玩具なのに、どうして、こんなに制御できない。 (──熱い……) 「せっかくですから、鍵咲さん。今どんな感じか、表現してみましょうよ」  低く響く声が、鼓膜でうわんと反響した。同時に、これは仕事なのだと、藍沢の催促に、颯太は自分の使命を思い出す。 「ん、ん、……っじんじん、して、あ、だめ、も、だめ、だ、だめ……っ」  藍沢は颯太の様子を見ながら、少しずつ抽挿を深くしていっていた。やがて指を離すと、にゅるん、とプラグが完全に後孔内に潜り込む。 「あ、あああ……っ」  ストッパーになっている底辺部分を残し、全部入ってしまったことがわかる。 (あ……っ、中に……) 「……全部、入っちゃいましたね? 深い? 痛くない、ですか?」 「ん、ん、いいっ……」 「気持ち悪くない?」  藍沢は、颯太の気持ちと状態を確認しながら、プラグの底に空いている穴に指を入れると、ぬずず、とそれを引き抜き、入れる動作を繰り返した。括約筋がひろげられる独特の感触に、颯太は目眩を覚えるほど感じてしまう。 「っもう、すご、っ……、それ、あ、ゃぁ、っ、ぐちゃぐちゃ、しな、ぁあ……っ」 「いく時は、いく、って言いましょうか」 「ぅんっ、いく、い、っいく、いっ……ひぁ、ぁあっ……!」  颯太の意志などまるで裏切り、内壁がぎゅっとプラグを、ひいてはそのプラグに入れている藍沢の指をも締め付けてしまう。  びくびくと全身を痙攣させながら、その瞬間、颯太は最高の波がきたことを識った。

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