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第7話 アナルパール・バイブ機能付き(1)(*)
「あ、あぅ……っ」
気持ちいい。
快楽以外に何も考えられなくなる。
ラブホで、颯太は藍沢と向き合うようにして、膝立ちの状態で、後孔を指で解されていた。
たっぷり使われるローションの粘着質な音にも少しは慣れてきた気がするが、上着を脱ぎ、ワイシャツ姿の藍沢と上半身を密着させると、その体温に鼓動が速まった。
(もっと、欲しい……)
考えた途端、思わず後孔を収縮させてしまい、ぬじゅっ、と内壁が指に吸い付く音に、颯太は赤面した。
(な、何考えた……? 今……)
下腹にある颯太のものは、まだ一度も、誰にも触られていない。にもかかわらず、それは臆面もなく快感を示し、上を向いて雫を垂らしていた。
「鍵咲さん」
「ふぇっ? な、何……?」
密着したまま囁かれ、鼓膜だけでなく藍沢の肺の中で空気が反響するのまでわかる。颯太と藍沢の少し速い心音が、トクトクと重なってはずれてゆく。
しかし、藍沢は少なくとも表面的には冷静だった。
「今日はこれですけど、触った感じとか、どうですか?」
アナルパール、バイブ機能付き。
先日、クリアできたアナルプラグとディルドに次ぐ製品で、先端からビー玉ぐらいの大きさのパールが、根本にいくまでにピンポン球ぐらいの大きさに育ち、連なっている。長さは持ち手の部分を含むと、大人の肘から指先ぐらいまでだ。製品としては、前に試した二つより、遥かに長大だった。
「素材……見た目より柔らかい、かな。それに自由に曲がるね。あんまり怖くなさそう」
「どの辺りまで入れます?」
問われて、颯太は全部入れるわけではないのだと初めて悟る。今日こそは、エベレストに登頂するぐらいの覚悟を決めてきたのだが、少し拍子抜けする。
「半分……?」
経験のないまま颯太が言うと、藍沢は眉を顰めた。
「大丈夫ですか?」
「え?」
「半分も、本当に入ります?」
「あ……」
藍沢の危惧するとおり、半分まで入れるとなると、太さも深さも完全に未知の領域だった。
「ごめん……! 実はわからなくて適当言った。どれぐらいが平均なんだろう……?」
「人によっては全部根本まで、って人もいるでしょうけれど、……そうですね。鍵咲さんの場合、まず三分の一を目指しましょうか」
「三分の一」
「努力目標としての三分の一です。使用感が出せる最低ラインまで入ればいいので、もう少し浅くても、感触がわかればいいんじゃないかと」
確かに努力目標なら、どうにかできそうだった。
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