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第9話 愛撫(1)(*)

「鍵咲さん……?」 「ん」  肩を、首を、辿られて、そのままふに、と唇を藍沢の親指が押し返した。視界を遮断したことで、かえって他の感覚器官が鋭敏になる気がする。颯太の視界を塞いでいるネクタイからは、微かに藍沢の匂いがした。  首筋を撫でられ、指先が鎖骨を滑り落ち、左の乳首に触れる。 「っ……」  最初はただその周りを回っているだけだった指が不穏な動きを見せるようになると、その場所が性感帯であることを教えられる。  藍沢の触り方はあくまでソフトなのに、颯太の屹立は、その先を想像して恥ずかしいほど張り詰めていた。  不意に藍沢の気配が近づいたかと思うと、次の瞬間、その唇が乳首に吸い付いた。 「ぁぁ……っ」  舌先を使って粒を舐められ、左右に嬲られると息が上がった。同時に限界間近の屹立を藍沢の手が探り当て、優しく扱く。 「あ、藍沢、……んっ、待っ、止まっ……ぁあぁっ……!」  ぢゅぅっと吸引された乳首が、尖りはじめるのがわかった。柔らかく性器を撫でられ、腰をよじって快楽を逃がそうとすると、やがて藍沢の頭部が下へと沈んでゆく。 「やっ、待って……! それ、ダメだ、だめ、だめ、だっ……ぁあぁっ!」  藍沢の灼熱の口内に屹立を導き入れられ、颯太は仰向けにベッドに倒された。口淫などされた経験のない颯太が、急激な快楽に慣れる間も与えられず、藍沢の指が乳首を摘まむ。  ぬく、にち、と藍沢の口内で、颯太の屹立が音を立て、扱かれる。  咥えられながら鈴口を舌先でチラチラとくすぐられると、もう我慢できず、仕舞いには、白く濁ったような衝撃とともに達してしまった。 「はぁ……っ! はぁ、ぁ……んん……っ」  拒むには、酷い甘さだった。  闇の中、放心した身体を裏返されると、腰を上げさせられ、先ほど颯太が放出したらしき精液を後孔に塗布された。指がくに、くに、と媚肉を押すように入ってきて、やがてアナルパールがひとつ、挿入される。 「ぁ……」 「痛いですか?」  ひとつ目を入れたあとで、藍沢が後孔を指でマッサージしながら尋ねてきた。 「っ……たく、なっ……けど、っ……」  かぶりを振る颯太に、藍沢は「少し緩めて」と催促する。 「で、きな……っ」  甘く色めいた声に促されるが、自分の身体だというのに、少しもコントロールが利かない。 「じゃあ、舐めますね」  どこをとも言わずに、身体を伏せてくる気配がして、後孔を濡れた感触が襲う。

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