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第18話 栓をする(1)(*)
「ふ……ぅぁ、はぁっ……っ」
肌を軽く滑るようにして、野々原が羽付きワンドを繰る。藍沢は颯太の背後にいるはずだが、気配を消していた。
首筋からはじまり、V字型に上がった鎖骨、脇の下や脇腹、胸骨の中心から臍にかけて、腰骨や、肉の薄い鼠蹊部、内腿、そして足の甲。性感帯とはあまり関係のなさそうな場所も、くすぐり上げられると容易に感じてしまい、そのたびに颯太は歯を食いしばった。
腹に力を入れようとすると、ディルドが中で不穏に蠢く。踵を上げたままでいるのが、こんなにきついとは思わなかった。野々原の悪戯から逃れようと身体をよじるたびに、肉筒がディルドを締め付け、強く内壁に食い込んでくる。
「ふ……っ、ぅ……、っ」
どれだけ時間が経っただろう。
全身に汗をかきながら、颯太は次第に疲弊していった。それでも、肝心の屹立は半勃ち半ば、まだ縄を打つには硬度が足りない。
「……ふむ」
野々原は上下にワンドをひととおり動かしたあとで、細い首を傾げて、颯太のうしろにいる藍沢に声をかけた。
「せっかくだし、やってみませんか? 藍沢さん」
「っ……?」
「少し趣向を変えましょう。せっかく二人、いるんだし……ふふ」
野々原に促された藍沢が、場所を変わると、野々原に背後から囁かれる。
「勃たないのは、毎晩、誰かに抱かれて発散しているせい? ちゃんと局部を刺激されないと、感じない? ……そんなわけないですよね」
野々原の呟きに、颯太ではなく藍沢が青ざめた。藍沢はワンドを握ると、野々原を真似て、首筋から下へとなぞりはじめる。
だが、刺激はそれだけではなかった。
「っ……っぁ、っ……!」
思わず声が出てしまった。
うしろから野々原が、颯太の無防備な胸の飾りを摘まむ。
「乳首、勃ってますよ? ほら。触れられてもいないのに、はしたない身体ですね」
「……っ」
指をこすり合わせるように刺激される様子を、余すところなく藍沢に見られていた。それだけで、甘い感覚が骨を震わせ、下腹部にどっと血が流れ込んでくる。
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