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第21話 素股(*)

 ぬちり、と太腿に、熱の塊を感じる。 「締めて……」 「んっ」  藍沢の着衣越しの身体と密着する。わずかに立ちのぼる汗と石鹸の匂いが、颯太の鼻腔をくすぐった。 (これ、素股……? けど……っ)  背後で颯太のアナルプラグを野々原が動かす。その運動に重ねるようにして、藍沢が緩く確かめるように性器を出し入れし出した。腰が離れたかと思うと、ぱちゅっ、と音がして、奥まで突かれる。 「ふ……」  藍沢の耐えるため息とともに、藍沢の屹立に颯太の双玉がこすられ、快楽を覚えた。  藍沢が腰を淫らに揺らしはじめ、互いの肌に、肌がこすれている事実が、快感を増幅する。加えて、ディルドを動かす野々原の動きが連動し、まるで後孔を藍沢に犯されているような気分になった。 「あ、あぁっ……! あ、ん……っ!」  次第に速さを増す抽挿に双玉が揉み込まれる。腿の内側の薄い皮膚がこすられ、抉られるたびに、ディルドの動きと一緒くたになり、颯太を幻惑へと誘った。 「これ、好き? みたいですね……?」 「あっ、ああっ、あ、あ、あんんっ……!」  ため息をつく藍沢に、颯太は勃起させた性器を揺らして欲情した。やがてひとつのリズムがつくられる頃には、大きな快楽のうねりが颯太の中で暴れ回る。 (藍沢くんが、おれで、興奮してくれてる……?)  そう考えた途端、熱が上がり、颯太は藍沢に合わせるようにして腰を振りだした。 「す……き……、好き……っ」  キスの合間に放たれた言葉に、藍沢は唇を唇でなぞりながら「俺もです」と言う。もう誤魔化せない。一度限界を突破して溢れ出した言葉は、まっすぐ藍沢に飛んだ。 「ん、好き……好き! っすき……!」  声を上げた颯太の唇を、藍沢が塞ぐ。目が合って、いやらしく腰を使い続ける藍沢が、「……いい子」とあやしてくれるだけで、胸の奥に多幸感が湧いた。 「あ、ああ、あ……! いく、いってしま……っ!」  視界が涙で滲んでいくのがもどかしい。  空いた方の手で藍沢に屹立を扱かれながら、颯太は切羽詰まった声を上げる。 「こぼ、こぼれ、る……っ、汚れちゃ……っ!」 「出して。大丈夫だから……っ」  ほとんど泣き声に近い不安を口にすれば、藍沢が後押しするように受け入れる。戻れないレールに乗ってしまい、引き返せないことを悟ると同時に、絶頂へと、ただひたむきに走ってゆくことしか考えられない。 「あ、あっ、好き……っ、あい、あいざわ、く……んぁ、ぁ、ぁあぁぁっ……!」  互いに絡まり合うようにして、藍沢が颯太の内腿に性器を突き入れた。  刹那、押し寄せる大きな波に、すべてがさらわれてゆく。 「ひぃ、ぅ──……っ!」  颯太が決壊した次の瞬間、内腿で藍沢の屹立が震えるのがわかった。 「く……!」  熱い迸りを双玉に受け、颯太は大きな頂きを越えた。同時に野々原が散々こね回していたディルドから手を離した。 「あ……んん、ん……っ」  人肌の温かさも、吐息の熱さも、経験したことのない一体感が訪れる。 「……鍵咲さん」  視線が絡み合い、キスを重ねる。 (──きっと、同じ気持ちでいる……)  誰かとすることの悦さに、颯太はこの時、初めて満たされた気がした。

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