58 / 70

第30話 結腸責め(1)(*)

「一番感じるのって、どこ?」  家に着くなり、靴を脱ぐ間も惜しむ速さで藍沢に求められた。 「あなたが一番恥ずかしがる場所で、エッチしたいです、俺」 「な、んで、そんな……こと、っ」  ギラついた視線を絡ませながら、颯太自身も欲情していた。ファーストキスは野々原のプレイルームで奪われたが、初めてするよりもずっと緊張する。藍沢は頤を指先で持ち上げると、颯太の瞼に口づけた。 「俺がいない間も、あなたが俺を忘れないように。見るたびに思い出すように。傷を付けたいです。あなたに、癒えない傷を」 「ん、なの……っ」  もうついていると思ったが、藍沢に説明しても納得しないだろう。藍沢が颯太の家の玄関で靴を脱いだ瞬間から、ただの賃貸マンションだった颯太の家が、藍沢の存在に、鮮やかに塗り替えられてゆく。  玄関で押し倒されて、唇を貪られているだけで、明日から藍沢を思い出して、出かけるたびに胸が甘く疼くだろうと颯太は確信していた。 「あなたを全部、覚えて帰ります。いつでも思い出せるように」 「ぁっ……!」  藍沢の身体が颯太の太腿に押し付けられ、ぐりぐりと昂りを主張されると、腹下の奥が煮えた。明るい玄関から続く廊下に、靴をどうにか蹴り飛ばして進む。ダイニングキッチンを通り越し、とにかく寝室を目指す。 「特撮ヒーロー……」 「んっ、ぁ……!」  ベッドに雪崩れ込む頃には、颯太は靴下と下着と、ボタンの外れたワイシャツだけになっていた。藍沢はスーツの上を脱いだ状態で、ネクタイを抜き取ると、そのポスターを仰いだ。 「懐かしいですね。好きなんですか?」 「それ……っ、の、ブルーが……っぁ……!」  下着の上から鈴口を揉み込まれて、硬くなった屹立を引きずり出されると、変な声が出た。 「ブルー。へぇ、颯太さんの好きな色って、そういえばブルー系ばかりですよね」  揶揄されて、ブルーが少し藍沢に似ている、と気づく。 「ブルーで妄想して抜いたりした?」 「っ……てな……っ」 「うそつき」  藍沢は下の名前で颯太を呼ぶと、とびきり意地悪になった。 「俺はあなたで妄想して、抜いたりしてましたよ」 「ぅぁ……っ、ゃ……ぁっ! ぁっ、あ! い、く……っ!」  颯太の屹立を扱く手が止まると、白濁が藍沢の手に吐き出された。下着を下ろされて、膝を割られ、後孔に精液を塗りたくられると、これから入ってくるものを想像して、興奮してしまう。  藍沢は、颯太を睥睨しながら、ゆっくりと服を脱ぎ、下着を引き下げた。

ともだちにシェアしよう!