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第2話 ラブホテル(2)(*)

「まず、アナル、あらためさせてください。傷とかそういうのがないか、心配なので」 「わ、かった」  颯太が頷くと、藍沢は調光器のところへゆき、照明を暗めの紫になるように落とした。 (ラブホの照明って、こんなこともできるのか……すごい)  妙に関心していると、早速、藍沢が颯太の傍にきた。 「ちょっと失礼します。いいですか?」 「あ、う、うん……!」  スラックスのベルトを解かれて、前のボタンを外されると、颯太も協力してボトムを足元に落とした。そのまま壁に手を突くよう言われ、腰を少し突き出した体勢を取ると、藍沢の指が伸びてきて、下着を腿のあたりまで下ろされる。 「失礼」 「っ……」  途端に部屋の空気に晒された陰部が冷やりとした。藍沢は颯太の背後に跪くと、尻の肉を指で左右にかきわけた。奥をひろげられ、歪まされる。 「力抜いて」 「ん……」  一瞬、うなじが火を噴いたようになったが、これは仕事の延長線上のことなのだから、恥ずかしがったら駄目だと思った。 「ちょっと傷ついてますね。今日挿れるのは止しましょう」 「え? でも……」 「無理にやったら駄目です。軟膏、持ってるので塗りますね。来週まで最低でも五日は空けてください。これ、あげますから。……自分で塗れますか?」 「う、うん」  颯太が掌に押し付けられた軟膏を見てぼうっとしていると、「あやしいな。ちゃんと塗ってくださいよ。来週、確認しますからね?」と藍沢は眉を顰めた。  極めてプライベートな場所を初めて他人に晒したことは、傷になるかと思ったが、そうでもなかった。相手が藍沢だからかもしれない、と気づいたのは、ホテルを出て、家へ帰り着いてからだった。

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