60 / 70
第30話 結腸責め(3)(*)
「颯太さん……」
組み敷いた颯太の身体を見下ろし、藍沢は泣きそうな表情で笑った。突然、壊れ物でも抱くみたいに触れられる。名前で呼ばれることに恥じらい、頬を染めて頷くと「可愛い」と言われた。藍沢の、まるで引きずり出すようだった愛撫が、いつからか、いたわるそれに変化していた。
「……あの日、あなたに声をかけて、本当に良かった。こんなに好きにさせて、責任、ちゃんと取ってくださいよ……?」
「お、れだって……きみが好きで……。欲しくてたまらないのに、意地悪して……っ。ちゃんと、最後までしてくれないと、嫌だ。きみとひとつになれないなんて、嫌だ……っ」
「っそういう、ところ」
「……?」
「大好きです。何も、知らないあなたが。知らなくていいあなたに、俺が教えます。今から、イチから、全部」
──教えます。
そういえば、最初も同じように言われたことを、颯太は思い出した。藍沢は颯太の両膝を割り、その間に腰を入れる。狙いを定めるように屹立を支え持つと、藍沢はゆっくりと蕩かされ、ひくついている颯太の中へ、体重をかけていった。
「ぁあ──……っ」
ぐじゅ、にゅじゅ、と恥ずかしい音が、颯太と藍沢の間で生まれる。藍沢の先端に未開の地をひらかれ、颯太は息も絶え絶えに喘いだ。
「ぅぁ……っ、はぁ……っ!」
「……っ、ここ、ですよね……?」
「んぁ、は、はぁっ……ゃ……!」
「嫌? 俺をこんなにぎゅうぎゅう食っといて、嫌はないでしょ。颯太さん……っ」
「い、いじわる……っ」
中は熟れて、もっと奥へと刺激を求めているのに、藍沢は汗の吹き出した身体で颯太を組み敷き、八割がたおさめてしまうと、動きを止めた。
「俺は、あなたのためなら、いくらでも意地悪になれるんです。……知ってるくせに」
「あ、うご、うごい、て……っ」
「動いてますよ、颯太さんが」
「ん、ゃぁ──……っ」
「熱くて蕩けそうだ……。颯太さん、これから、あなたの奥を、犯します」
「ぁ……!」
颯太の腹に付かんとする屹立を、藍沢は空いてる手で握り、扱き立てた。そのままゆっくりと腰をグラインドし、颯太の様子を見ながら、奥へ、さらに奥へと穿ちはじめる。
「ぁ、ぅぁ、ぁあ、っ、あ、あい……っ、ざ、わく……っん!」
今までとどこかが違う動きだった。奥へ進むほどに、颯太の身体が拒絶もせずに藍沢を求めはじめる。前を扱かれながら後ろを突かれると、それだけで壊れそうに気持ちがいい。
ともだちにシェアしよう!