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第12話 莉良のほっとひと息自分時間

 翌朝は静かな目覚めだった。休みの日は目覚ましをかけずに寝れるだけ寝るのが莉良の癖だ。  宗方によると、村長の橋口は莉良が村おこしプロジェクトのリーダーとして働くことに全力を注いで欲しいという願いから、莉良の全ての仕事のスケジュールを宗方に策定するように定めたのだという。幸い、目立つような事件やトラブルのない穏やかな梶山村人たちのおかげで、村役場の仕事にはゆとりがあったのだ。  そんなわけで、莉良は村おこしプロジェクト以外の業務については外してもらえることになっているのだと。  まだ莉良と出会ってまもないというのに、村長の橋口とも上手く連携をとって仕事を進める宗像の有能ぶりに感心してしまう。さすが、人材派遣会社ウェルムの宗方だ。はじめは聞いたことのない会社名だったので警戒してしまったが、今では全く警戒心のけの字も持たずに接してしまっている。 「それにしても……宗方さんって有能すぎるよなあ」  莉良は録画していた深夜アニメを見ながら、卵かけご飯を頬張っていた。こっそりみりんを数滴かけるのがほんのり甘みが増して美味しい。梶山村の村人から教わった秘密の隠し味だ。 「高身長イケメンってああいうのを言うのかな。東京にもあのくらい美形な人って少ないと思うのに」  もし、宗方の第一印象を見て職業を決めろと言われたら莉良は迷うことなくモデルやインフルエンサー、美容師など美容系の仕事についていると答えるだろう。  いつもかけているメガネはフレームに汚れひとつなく、いつもピカピカ。艶のある黒髪は日によってセンターパートだったり、オールバックになっていたりと飽きのこないヘアスタイル。スーツ姿ばかり見ているせいか、宗方の私服も見てみたいなんていう好奇心が湧いてくる。  まるで俳優みたいな堂々とした立ち居振る舞いに、男らしさを際限なく感じてしまい少し嫉妬してしまうくらいだ。莉良は宗方みたいな男になれたら立派に箔が付くのになあ、とぼやきを入れてから部屋の掃除を始めた。  時刻は13時過ぎ。遅めの朝昼兼用ご飯を食べてから、一人暮らしの部屋を綺麗に保つためにウェットシートで床を拭く。  昨日、宗方という急な来訪者を迎えたため部屋の片付けをしたくてしょうがなかったのだ。部屋を見ればその主がどんな人なのか人となりがわかると聞くし、と念入りにホコリがないかをチェックする。 「あーもう。宗方さんに俺がズボラなのバレちゃったよな」  そんな泣き言を呟きながら、いそいそと掃除に明け暮れる休みを過ごした。

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