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第14話 りらバズ現象
「さっそくですが、こちらをご覧ください」
「ん? なにこれ?」
宗方が見せてきたのはパソコン画面。そこにはペラッターの投稿がいくつか見えた。そしてその内容はというと……。
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梶山村役場のりらくんやば……!
このタイミングで自己紹介動画は神すぎる。
めっちゃイケメン♡可愛すぎる。
これが成人男性なの?
アイドルとして生きる世界線が見てみたい。
過疎な村役場で働いてなんて、異世界転生みたいだよ。
#りらくん
#梶山村
♡1.5万
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「これって……♡がたくさん押されてるってことですか?」
ファンの人と思しき人の投稿をまじまじと見つめていると、宗方がにこっと微笑んできた。満足気に口角が上がっている。
「はい。これは、ペラッターで言うところの『万バズ』現象です。この投稿は100万PVなので、単純に考えると100万人の人がこの投稿を見たことになります」
「ひゃく、ひゃくまんにん!?」
自分の話がそこまで広まっているとは思わずに、莉良は座っていた椅子から転げ落ちそうになった。慌ててバランスを保つ。変な汗がどっと額から湧き出てきた。
まさか。そんなに大勢の人に注目され始めたなんて……。都会とは違って、ここは梶山村だから通りすがりの人にペラッター経由で声をかけられることは少ないし。
いまいち実感が出来ないでいた。さらに畳み掛けるように宗方がこの間撮影した動画を開く。既に編集してアップしてくれていたようだ。投稿時間は6時間前。
「50万回再生……? たった6時間で?」
「ええ。編集が予想以上にさくさくいったので早めに投稿したところ、想像よりも良いスタートを切れました。コメント数もご覧ください。初投稿にしては100個もコメントが来ているのは本当に珍しいんですよ。まさに、『りらバズ』現象が起きている証明です」
「なるほど……」
だから宗方さん、機嫌が良かったのか。
クライアントの要望を叶えるために宗方はいるのだから、当然と言えば当然なのだが、まるで自分のことのように喜んでくれるのは見ていて気持ちが良かった。
こういうところもクライアントに好かれるポイントなんだろうなあ。この人だったら安心して仕事を任せられるもん。
莉良は改めてこの宗方という男のハイスペックさを感じて、まるで目の前にそびえ立つ高い塔のような印象を受けた。
「というわけで、今後もこのように『りらくんチャンネル』を更新しつつ、古民家カフェ設立のための資金を集めましょう。1番早いのはクラファンなので、さっそくページを作ってみました」
「クラファン?」
「ええ。クラファンとは、クラウドファンディングの略です。簡単にいうと、やりたいこと・作りたいもののために、インターネットでたくさんの人から少しずつお金を集める仕組みです。例えば、映画製作の資金集めやお店の開業資金集めなどに活用されることが多いです。クラファンはまさに櫻川様の夢に近づくための大切な一歩です」
「そういうのがあるんだ。すごいなあ」
宗方の説明はわかりやすく、端的でイメージもしやすい。この人の言語化能力はすごいと感心していたところだった。
「ちなみに昨夜ページを作成してから既に100万円が集まりました」
「えっ! 一晩で? そんなに集まるものなの?」
「一概には言えませんが、今のりらバズ現象の影響もあり新しいファンの流入が起きているようです。古民家カフェ運営のための目標金額は確か、5000万円でしたよね。クラファン並びに動画サイトの収益、グッズ販売など広く展開していく予定ですので半年もしないうちに目標金額達成ができると思います。なので、すべてわたしにお任せ下さい」
「もちろんです! 今後もよろしくお願いします」
深く頭を下げた莉良を宗方がどんな表情で見ていたかなど、わかるはずもない。
古民家カフェ運営に向けた戦略が進む一方で、莉良には別の嵐が近づいていた。
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