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第17話

 村役場の職員室では、中野さんが職員全員に(といっても、莉良以外の4人)にペラッターを見せてまわっているところだった。    橋口村長に声をかけられ、すぐにデスクに向かう。橋口村長は、御歳75歳。びっくりするほど豪快に笑う。趣味はゴルフで、梶山村にゴルフ場を作ったのも、橋口さんの案だった。村人しか行かないゴルフ場だが、社交場としての役割を立派に果たしている。 「櫻川くん。さすがだねぇ。君にプロジェクトリーダーを任せて良かったと改めて思うよ」  がはは。と歯を見せて笑う橋口さん。もちろん歯はmy teethだ。入れ歯なんて、橋口さんには必要ないのだろう。 「フォロワー200人超えましたよー! 櫻川さん効果すごい」  中野さんは今にも小躍りしそうだ。莉良は、なんだかんだ梶山村が有名になるのならもうなんでも構わないと思った。自分なんて、どう使われたっていい。    その日1日は、いつものように事務仕事を片付けて午後からはまた宗方と打ち合わせの予定になっていた。もはや2人の待ち合わせ場所となった会議室に向かう。他の職員など入ってくることもない。ぼろぼろの壁に、雨もりしている端っこの天井。もう何十年も手入れされていないであろう窓。隅には、お決まりのように蜘蛛の巣が張っている。 「お待たせしてすみません」  莉良が会議室に入ってから数分も経たないうちに、宗方が入ってきた。走ってきたのか息が乱れている。 「大丈夫です」 「ペラッター順調にフォロワー増えてるようです。梶山村目的と言うよりは、櫻川様目的の方が大半だと思いますが」  そう言って、ペラッターに載せた写真についてのコメントを見せてくれた。 _____________________ まだネットにこんな逸材がいるとは……応援します! まじでイケメン! 推せる! 笑った顔めっちゃかわいい〜。これから人気出そうだなー。フォローしとこうっと。頑張ってください。 こんなに若い子が村おこししてるの!? おばさん感動。絶対この村行くわ。

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