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第1話

奏斗の家にあいつが来たのは真夏の真っ只中。 父は朝からどこかに出かけていたと思ったら、俺に相談も無しにそいつを勝手に家に連れて来た 「その、なんだ。突然ではあるんだが、母親が亡くなって…」 父が言うに今日は離婚した母親の葬式に顔をだしたところ、行き場のなく途方に暮れていたそいつを可哀想に思い、のこのこと連れ帰ってきたのだと 「…ふーん。そう。あのクソ女、浮気した上に子供作って、お荷物まで残して浮気相手と共倒れ。本当、笑えるね」 「受け入れられない気持ちもわかるけど、あの子も、事故で両親を失って今は辛いんだ。頼むから、仲良くしてやってよ」 「別にいいけどさ、仲良くなれるかはあいつ次第だから」 奏斗にとっては正直どうでもいいことだった。家に誰が居ようが自分に関わることがなければ問題はない 「話は終わったのか?」 2階に上がり部屋に戻ろうとすると、先に上にいたそいつと鉢合わせした。何故かそいつは俺の部屋の前に凭れている 「入れないんだけど。お前の部屋はそっち」 「挨拶、まだだったよな。俺は昌、お前は?」 聞いているのかいないのか、一向に退こうとしない昌に嫌気が指して苛立ちが勝った 「…可哀想にな。勝手に生んだ癖に、ちょっとした事故でお陀仏なんてな」 「お前っ…!」 怒りをあらわにして胸ぐらを掴んできた昌に、怯む事なく奏斗は冷淡に続けた 「…あんたもあのクソ女と一緒に死ねば良かったのに」 「っ……」 そう言えば先程の威勢はしぼみ、目を伏せた昌の手を乱暴に振り払い、体を退けてドアを開けた 「俺の部屋には入んなよ」 思い切りドアを閉めて、静まり返った自分の部屋に安堵のため息を漏らした

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