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合同⑬

「ははっ、シノくんってあれか、ちょっと鈍いのか!つまり、蓮と違って裏表ないんだなってこと」 「? よく分からないけど矢沼は可愛いよ?」 毎日告白されてるし笑顔かわいいし、俺へアドバイスしてくれるし…。矢沼は良いやつだ。 そう言えば、急に十葉くんは真顔になってしまい、 「……シノくんは騙されてる」 としくしくと抱き着いてきた。 でも矢沼に嘘をつかれたことがないので、よく分からないなあ…と思いながらも俺も十葉くんの背中に腕を回す。 よしよーし。泣かないで十葉くん。 と背中をさすっていたのだが、ひゅっと十葉くんとの距離が離れて頭にハテナマークを浮かべながら、その原因へ目を向けた。 「シノに気安く抱きつくな十葉」 「いってぇーデコピンしなくても……〜って、湯田じゃん!!久しぶりー!!」 わーい、なんて、はしゃぎながら俺の次は湯田へ抱き着こうとする十葉くんは人懐っこい性格をしているのだなと確信した。 犬っぽいな、十葉くん。 湯田が忠犬なら、十葉くんは……駄犬?失礼か、黙っとこう。

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