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合同⑭
バシッ。
だが、次の抱擁は矢沼のビンタで阻止された。綺麗に矢沼のビンタが十葉くんの頬を直撃して、音が響いた。
「はい、そこまで〜」
「いってぇ…何すんだよ、蓮!!」
頬を擦りながら涙目になる十葉くんだが、「シノだったから許したけど、なに雅貴にまで抱き着こうとしてんの、バカなの?」なんて暗い声で言われて十葉くんは
「はい…バカなことしました、ごめんなさい」と淡々と謝罪していた。
犬の耳としっぽがあったなら、しょぼんと垂れ下がってそうだ。
さすがに長話をしていると自分の斑とはぐれて泊まる部屋が分からなくなりそうなので、十葉くんとはいったん別れて部屋の案内を管理人にしてもらったり、部屋に荷物を置いたりしていた。
そのあと、交流の印に〜とかなんとかで体育館でドッジボールを他校とさせられて。もちろん女子は女子でしていたのだが、男子は他校のヤツと混じってドッジボールをさせられた。
知らないヤツと本気でドッジボールすんのかな、まあ……手加減なんてしないけどな!
ふんっと意気込んで腕捲りしてたら、湯田に「ボール投げれんの、シノ?」と小馬鹿にしたように笑われた。
投げれるし。バカにすんな。
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