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意味⑪
深夜。
電気消して、ひそひそ話していた声が徐々に消えていく。
瀬谷なんてイビキかいてて、正直うるさい。
そして、
「どうして湯田は俺と寝るの?」
「温かいだろ?シノ寒がりだし」
そんな理由で俺と寝るの?
班のみんなを置いて?
矢沼に班長の仕事押し付けて?
…どうして、そこまでして俺といるの。
「…湯田が分からない」
湯田は女の子が好きで、
優しいから、俺を軽蔑しなくて、
友達だから、守ってくれて、
でも、分からなくても
湯田と友達でいられることに満足している。
それなのに、
「考えて、シノ」
湯田は俺を“より深い場所”まで誘 おうとしている。
知ってしまえば、俺たちは一緒になんていられないんじゃないかな。
…なんて、また逃避しようとしてる俺の顔の横に湯田は手を置いて、隣で寝てたのに俺の上を跨った。
「俺がシノに伝える言葉、態度を…」
「…」
「俺がシノへキスした意味を、考えて」
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