133 / 229

意味⑭

唇から湯田が離れ大きく息を整える。 「へ、下手で悪かったな…初めてなんだから仕方ないだろ…」 「徹平さんとは?」 「あるわけないだろ……ん、やめろ」 また軽いキスをされ睨めば綻んだ顔で「嬉しい」と呟いた湯田に勘違いしそうになる。 頭に酸素が回らなくて、ぼぉーとするし……さっきまで寒かったのに今は、熱いし。 「シノ耳真っ赤」 「うるさい」 「かわいい」 かわいい訳ないから。バカだな湯田。 「湯田はかっこいいよ」 思ったことそのまま言えば、湯田が優しく俺のおでこに口づけし、次は耳、次は首…と、だんだん下へキスの雨を降らせる。 あぁ…俺、このまま流されそうだ。 でも、湯田になら… 湯田だから…俺、―――。 俺に優しく触れる湯田だから、湯田に俺への気持ちがなくたって、俺は…満たされていくのだと思う。

ともだちにシェアしよう!