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湯田④

シノの席に座りシノを俺の足の間に挟み、後ろから腰へ腕を絡ませシノの背中に頭を預ける。 とくん、とくんとシノの規則正しい心臓の音がする。 文句を言うが本気で引き剥がさないシノに、小さく笑う。 そんな優しいシノにつけ込んでるっていうのに……さすがバカシノ。 先生は俺が中学時代、不良で手がつけられなかったことを知っているのかあまり無理強いはしない。 他のヤツも多少なりとも自由にしてる。 すんすん、と自然に香ってきたシノの匂いに眠気を感じる。 あぁー…落ち着く。 サイズがちょうどいいから?匂いが好みだから? 分からないけど……ぐっと強く腕に力を込めて俺は夢の中へ落ちていった。 『ゆーた』と楽しんだ声で呼ばれるのはシノなら許せる。 頭を撫でられるのも…心地いい。 あーん、されるのも悪くない。 この気持ちを友情で片付けてしまうのは、きっと違うと思うし……きっと、後悔する…。

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