151 / 229

横溢⑩

苦手なもの… 「ぼ、ボディタッチ…?」 「嘘だろ、それ。俺結構シノに触ってるし、他のヤツに抱き着く時もあるだろが」 「う、嘘じゃないし…」 ただ…ーーーーーー。 「ねぇ、湯田くんっ」 「彼女いないのぉ?」 「連絡先交換しよーよっ」 ガバッと俺がいるほうと逆のほうの湯田の腕に抱きつき、2〜3人が湯田に詰め寄った。 あらら、無視してたから… ぽんぽん。と“どんまい”の意味を込めて湯田の肩を叩いてから距離を置く。 俺だって空気が読めない男じゃない。 自然と離れて瀬谷たちの和へ、馴染む。 瀬谷に、せっかく女の子と話せるチャンスだったのにー!シノちゃんもそう思うだろ?なんて言われたけれど、そんなのどうでも良かった。 ただ… 俺は湯田になら、触れられても怖くなかったって、あの夜そう思ったんだよ。 震えていた身体は、ただの後遺症だから。

ともだちにシェアしよう!