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横溢⑩
苦手なもの…
「ぼ、ボディタッチ…?」
「嘘だろ、それ。俺結構シノに触ってるし、他のヤツに抱き着く時もあるだろが」
「う、嘘じゃないし…」
ただ…ーーーーーー。
「ねぇ、湯田くんっ」
「彼女いないのぉ?」
「連絡先交換しよーよっ」
ガバッと俺がいるほうと逆のほうの湯田の腕に抱きつき、2〜3人が湯田に詰め寄った。
あらら、無視してたから…
ぽんぽん。と“どんまい”の意味を込めて湯田の肩を叩いてから距離を置く。
俺だって空気が読めない男じゃない。
自然と離れて瀬谷たちの和へ、馴染む。
瀬谷に、せっかく女の子と話せるチャンスだったのにー!シノちゃんもそう思うだろ?なんて言われたけれど、そんなのどうでも良かった。
ただ…
俺は湯田になら、触れられても怖くなかったって、あの夜そう思ったんだよ。
震えていた身体は、ただの後遺症だから。
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