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お互い様②

ゴール地点に着き、彼女を先生のところまで連れていき自由時間を過ごしている間に矢沼は戻ってきた。…十葉くんを背負って。 「くっそ……かっこわるすぎる~~」と矢沼の背中に顔を埋めて唸ってる十葉くんを、ふっと鼻で矢沼は笑っていた。 …矢沼、雰囲気ちがう? 「矢沼…なんか、ちがう」 「シノ~なになに?僕に惚れたの~?ふふん~僕、力持ちでしょ……いたっ、こら、暴れないの!!」 へらへらと矢沼が笑っているのを見て、十葉くんは不機嫌になってじたばた暴れ、矢沼の背中から降りた。 「…あんがと、もう大丈夫だから」と、弱々しく十葉くんは言って、自分の班のもとへ戻っていった。 そんな十葉くんの後ろ姿をため息つきながら見つめている男子校の花。 「はあ…シノなら素直で可愛いげあるのに……なんだかな~」 「…どういう意味」 「ふふっ可愛いシノが大好きって意味だよ~……ギャッ」 ぎゅっと矢沼から抱き締められる前に、忍者のように瞬時に現れた湯田が矢沼をチョップして阻止した。 …痛そう、ゴツッて音した。

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