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お互い様③
「いたい~…雅貴のばか~」
「馬鹿はお前だ。口説く相手が違うだろ」
「…」
また幼馴染みにしか分からないこと喋ってる……むっ。
というか、さっきまで女の子に囲まれてたくせに、もう戻ってきたのかよ。
連絡先とか聞かれたりしたのかな…聞かれてたな、さっき。告白…は、されないか、いや、でも一目惚れだとかで…されるかも。
…それに対して湯田はなんて答えるのだろう。
とんとん。
…?
湯田と矢沼に夢中になりすぎて背後ノーマークだったぜ、くそぅ。
振り返り見下ろす先には先ほど自分が運んだ女の子がいた。
先生のところまで運んだのに…戻ってきたんだ。
「もう平気なん?」
「あ、あの……はいっ!ありがとうございました!!おかげで、だいぶ楽になりました」
「どういたしまして。それにしても、もう少し休んでたほうがいいんじゃない?」
「えと…っ、お礼がどうしても言いたくて…」
慌てた様子で照れながらそんなこと言う女の子がおかしくって小さく笑ってしまった。
「ははっ、律儀だな。変なの」
小さくて守ってあげたくなるような子だよなー髪、長くてふわふわで、色が白くて……
「…っ、あ、あの…名前…」
「ん?なーに?」
どうして、こんなに可愛らしい子に、ときめかないんだろう、病気なのかな……
「シノ」
それに対して、その声は俺の耳にまっすぐに届く。すぐに誰だか分かる。
「…湯田?」
"変なの"は、"俺"じゃん。バカ。
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