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平行①
「先輩、俺なんかと会ってくれてありがとうございます」
「"なんか"ってなんだよ。俺は会えて嬉しいよ」
日曜日の11時に人の少ない店で俺は、先輩と会う約束をした。
小さい喫茶店だからメニューはコーヒーが多くって女の子に人気のタピオカやらスムージーやらパンケーキはない。
だから年配の方やコーヒーに拘りがある方がほとんどで混んでるところは正直見たことがない。
そんな場所じゃないと
俺は先輩へ想いを打ち明けれないから。
喉が乾いてもいないのにアイスコーヒーに何度も口をつけ目が合えばまた、それを繰り返す。
そんな俺に先輩は優しく笑うだけなのだ。
「あ、あの…」
「巳継」
走り方が大好きだった。あまりに綺麗な走り方で見惚れて、自分もあんな風に…と憧れてたんだと思ってた。
それなのに話すようになって、声だとか仕草だとか自分に向けられる笑顔だとか
すべてに心をもってかれる、そう自覚してしまえば答えは単純だった。
あぁ…あの日、あのとき
この人を俺は…
「俺のせいで学校、やめたのか?」
好きだった。
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