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耽溺②
「しかもノコノコ帰るとか…っ、麻婆茄子より雅貴を優先させなよね~」
だから今朝のラブコール出てくれなかったんだ~とか、ずっと舌打ちしてるだとか、八つ当たりされるだとか、喚いている矢沼に、申し訳なさが生まれる。
確かに待てと言われて待たなかったもんな…
ちらり、と湯田がいるであろう場所を見れば今も間名くんに絡まれてる。
間名くんとは一瞬だけ目が合い、なんとなくだけど「邪魔しないで」と雰囲気が伝えてくる。
なので、こうして離れて矢沼といるのだが。
「今は間名くんがいて話せないから、またあとで謝る」
「気にせず今行ってきなよ。ついでに雅貴は誰のものかっての見せつけちゃえば?」
うん、湯田は誰のものでもないからな。
…あ、すげぇ密着されてる。あらあら。
困った顔して湯田は、間名くんを見てるけど間名くんは幸せそうで。
湯田と
目が……合わない。
それだけで
焦燥感が走り、邪魔するなって…その牽制に同意したくせに…足がそっちへ向かっていた。
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